アクセスカウンタ

プロフィール

ブログ名
おやぢロックの友:アウトテイク
ブログ紹介
好きな音楽のこととか、映画のこととか、なんかユルユルなことをメモ的に書いてみます。日記はムリ。自己紹介ったって、あとは何だ、好きなものでも書いておくか。アメリカン・ロックとか、西部劇全般、クリント・イーストウッド、サム・ペキンパー・・・おやぢ臭いな。えーと、ルーシー・リューが好き。
そうだ、あと、女子ソフトボールを応援してます。

■ブログにメアドは載せない方がいいらしいけどね。
i-travis@mte.biglobe.ne.jp
zoom RSS

未解決の女

2018/04/20 23:23
昨日は『未解決の女 警視庁文書捜査官』(テレビ朝日)の初回を見た。

画像

正直、主演が波瑠じゃなかったら見ないかなあ、という感じだったけど、波瑠だから毎週見ることにする。波瑠さん良い。冬期ドラマ『もみ消して冬』もぜんぶ見たし。

出だし『SPEC』を思わせたのは、波瑠がギプスをはめた左腕を吊って登場して、警視庁の地下深くの倉庫みたいな部署に降りて行ったから。でも『SPEC』はTBSのドラマだし、たまたま似ちゃったんだろう。
未解決事件を捜査するドラマは特に新味があるわけじゃなし、テレ朝伝統の刑事ドラマでいうと『おみやさん』だってそうだ。

鈴木京香が捜査資料の倉庫から推理するという点で、思った以上に、なんて言うんだっけ?書斎で推理するミステリーに、ジャンルとしての呼称があったと思うんだけど。「安楽椅子探偵もの」でいいのかな。鈴木京香が署内で推理して、波瑠が現場で動く、変型バディドラマだった。

あんまり陰惨な内容ではなく、楽しく見られるのが良い。
ラストに直前の時間帯のドラマ『警視庁・捜査一課長』の内藤剛志が、捜査一課長として出てきてびっくりした。どうやら『警視庁・捜査一課長』のラストには波瑠が出てたみたいなので、そういうことなのね。

波瑠といえば、NHKでやってた『スニッファー 嗅覚捜査官スペシャル』に登場したプロファイラー七条香奈もぜひレギュラー化して欲しいし、
『BORDER 衝動〜検死官・比嘉ミカ〜』も面白かったから、このあたりをローテーションで見たいな。
記事へトラックバック / コメント


昼下がりのサミー・デイヴィスJr.

2018/04/16 13:44
土曜日に放送されたTBS『オー!!マイ神様!!』がスゴかった。
『オー!!マイ神様!!』とは、月曜深夜に放送されていた、爆笑問題の田中裕二とメイプル超合金のカズレーザーがMCのバラエティ番組で、ゲストの芸能人や文化人が自分にとっての「神様」をプレゼンする。
先日はその1時間スペシャルで、何がスゴイって土曜日の昼下がり、高嶋政伸のプレゼンにより、1時間まるまる「サミー・デイヴィスJr.」のことを放送したのだ。

画像

サミー・デイヴィスJr.はおもに1960年代に活躍したアメリカの黒人エンターティナー/歌手/俳優/ダンサー。
僕ももちろん全盛期の活躍は見てないけれど、僕ら世代は70年代にサントリー・ホワイトのCMを通して、当時は小学生でも知っていた。
冬の朝、外に出た少年が「寒ぃ」と言うと、友達が「デイビスジュニア」と続けるのが慣用句となっていたほどだ(のちにサミー・ヘイガーが取って代わる)。

高嶋政伸がプレゼンしながらVTRを見て、号泣しているのがまたスゴかった。この番組、ナイツの塙が細野晴臣をプレゼンしたり、行定勲監督が成瀬巳喜男監督の『浮雲』を熱く語ったり、振付師の杉谷一隆がフランキー堺のミュージカル映画『君も出世ができる』を教科書として語ったり、猪瀬直樹が三島由紀夫をプレゼンしたり、菊地成孔がマイルス・デイヴィスをプレゼンしたりと、マニアックで深い内容がとても面白かった。
どうやら番組は最終回っぽいけれど、こっそり復活して欲しいなぁ。


画像

というわけで今日は、僕が一枚だけ持ってるサミー・デイヴィスJr.1968年発表のアルバムから、「Every Time We Say Goodbye」を聴きながらお別れです。
記事へトラックバック / コメント


寝言も言えるはず

2018/04/15 11:09
相変わらずチャットモンチーのトリビュートアルバムを聴いていてるんだけど、3曲目、ねごとの「シャングリラ」もいいなあと。
ねごとといえば、去年の夏に出たシングル「空も飛べるはず」のジャケットがいかしてたな。買わなかったけど。

画像

ねごと「空も飛べるはず/ALL RIGHT」
映画『トリガール!』の挿入歌となったスピッツのカバーです。

これロック好きなら一瞬で、おっ!と思うやつ。

画像

THE WHO「The Kids Are Alright」のオマージュとなっております。
フーのユニオンジャックを「空も飛べるはず」だから空の柄にしていて、4人の寝顔に「ねごと」って感じも出ている。上のフォントまで合わせてますね。そして、なぜフーなのかというと、カップリング曲のタイトルが、「ALL RIGHT」ときた。
「パクリ」じゃないですよ。元ネタが有名なものだから。ねごとの若い音楽ファンに伝わってるのかは微妙な気はするけど。「パロディ」という言葉は、元ネタに対して風刺的なニュアンスがあるから、ここは「オマージュ」でいいと思います。
記事へトラックバック / コメント


日曜プライム/探偵物語

2018/04/09 14:10
昨日の夜はテレビ東京の池上さんの番組を見ていたので、テレ朝でやってた『探偵物語』は録画して、真夜中に見た。

画像

原作・赤川次郎。ってことはもちろん、薬師丸ひろ子と松田優作のあの懐かしい『探偵物語』(1983年)の、34年ぶりの映像化なんだとか。
主演は二階堂ふみと斎藤工。立ち姿が映画版の身長差を思い出させる良いキャスティングで、なかなか楽しいドラマだった。

薬師丸版『探偵物語』を観てるからって、それと比較してどう、みたいな野暮は言いません。あくまでテレビサイズのドラマ化なので。
そもそも映画版『探偵物語』がそんなに面白かったかというと、かなり思い出補正されてるし。公開当時、僕は高校生だったから夢中で観て、その後も松田優作の特集上映などで何度か観てるけど、まあヌルい映画です。

エンディングテーマは安藤裕子さんが歌う「探偵物語」のカバーだったけど、そこは二階堂ふみに歌って欲しかった。
記事へトラックバック / コメント


CHATMONCHY Tribute

2018/04/05 23:31
夏に「完結」が発表されているチャットモンチーは、現在ラストアルバムを制作中のようだけど、その前に、つまりまだ完結していないのに、早めのトリビュートアルバムが出た。

画像

あーもうメチャメチャいい。チャットモンチーのオリジナル・アルバムと同じくらいに好きだ。ジャケットのアートワークも可愛いし。
参加アーティストを一応全部書いておくと、忘れらんねえよ、CHAI、ねごと、People In The Box、Homecomings、ペペッターズ、YOUR SONGS IS GOOD、フジファブリック、集団行動、川谷絵音、Hump Back、グループ魂、スチャダラパー、きのこ帝国、月の満ちかけ、ギターウルフの全16組。僕は全然知らない人も多いけど……。
ねごとやHump Backなど、チャットモンチー・フォロワー的なガールズバンドから、フジファブリックやギターウルフらの先輩バンドに、一般公募によるペペッターズと月の満ち欠けまで、音楽的な幅もかなり広い。

トリビュートアルバムって、アーティストがそれぞれ原曲を解釈して、オリジナルから離れた方が面白いと思ってるんだけど、このアルバムは、どのアーティストも本気でチャットモンチーに取り組んでいて、そこに愛とリスペクトを感じる。ブックレットに載ってるそれぞれのコメントを読んでるだけでも、嬉しくなってしまう。

 「耳鳴り」を初めて高校の軽音部の部室で聞いた時、訳の分からな
 い涙がどんどん出てきて自分でもとてもびっくりしたのを覚えてい
 ます。こんなにかっこいい、女の人たちだけのバンドがあるなんて、
 とてつもなく頼もしいような、心地よく打ちのめされたようなあの  
 衝撃は今でも忘れられません。(一部抜粋・ねごと/蒼山幸子)

青春映画みたいな場面。分かる。僕がもしも女子高生で軽音楽部の部室でチャットモンチーを聴いたら(ハードルがものすごく高い妄想だけど)、絶対泣く自信がある。

そして様々なカバーからなおも浮かび上がる、チャットモンチーの楽曲の良さ。アレンジが大きく変わっても失われないメロディと言葉の強さを、あらためて感じることが出来る。これがトリビュートアルバムの醍醐味。
でも、参加アーティストにチャット愛が溢れるばかりに、あえて代表曲を外して選曲したフシがある。大ネタの「シャングリラ」を、事務所の後輩のねごとがやってるくらいで「親知らず」とか「Last Love Letter」とか、まだまだ、もう一枚余裕で作れるくらいに名曲が残ってる。
やっぱすげぇなチャットモンチー。
記事へトラックバック / コメント


素敵なダイナマイトスキャンダル

2018/04/02 12:49
昨日は池袋シネマロサにて『素敵なダイナマイトスキャンダル』を観た。サービスデーにつき1300円。

一昨日はアメリカ政府を揺るがしたワシントン・ポストの映画を観たけど昨日はサブカルの最果て雑誌「写真時代」編集長として知られる、末井昭のクロニクル。末井役に柄本佑、監督は冨永昌敬。

画像

一応注釈しておくと「写真時代」とは、1981年創刊、1988年に廃刊となった荒木経惟のエロ写真を目玉にした超過激なエロ雑誌。他に森山大道のスナップや、南伸坊、赤瀬川原平らの連載もあったサブカルの最果て。
僕も若い頃に、サブカル目的ではなく当然エロ目当てで、止むに止まれず2回くらい買ったことがあるが、35万部も出ていたとは!
決して「表現の自由」のためでも「芸術」や「反権力」のためでもなく、わいせつ目的の悪ノリ雑誌です。本当にヒドイ雑誌なんだからもう。

原作を読んでないので、映画で初めて知ったが、末井氏は60年代にまず横尾忠則や粟津潔に憧れてグラフィックデザイナーを志し、看板制作を主とする小さなデザイン事務所に入る。その後キャバレーの宣伝部や風俗店の看板を描いている内に、エロ雑誌にイラストを描くようになったのが、出版業界への入り口のようだ。
ポスターカラー。竹製の溝引き定規にガラス棒と烏口。三角定規。写植の切り貼り。手描きのレイアウト用紙。グラフィックデザインがまだ職人仕事だった時代の描写が、懐かしくて胸が熱くなった。昭和の末期。バブル景気直前。最後の泥臭くて猥雑な時代の空気感がよく出ていた。

1977年に「写真時代」の前身となる「ウイークエンド・スーパー」という雑誌を作り、そこで写真家の荒木経惟と組むのだが、演じるのがこの映画の音楽も担当しているジャズ・ミュージシャンの菊地成孔。彼はどう見ても菊地成孔なのに、出て来た瞬間に、あっアラーキー!だと分かるキャスティングが絶妙で面白かった。

この映画は、幼少期にダイナマイト心中した母を「売り」にした末井氏の母に対する決着なのかなかと思う。映画には多くの女性が登場するが、母を演じた尾野真千子が圧倒的に妖艶で魅力的だったから。
記事へトラックバック / コメント


ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書

2018/04/01 16:49
昨日はイオンシネマ板橋にて『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を観た。レイトショー割引で1300円。

1971年、ベトナム戦争の虚偽を記した機密文書を入手したワシントン・ポストの記者たちを描く、スティーヴン・スピルバーグ監督作品。

画像

ゾクゾクした。70年代初めの、まだまだアナログな時代のブン屋たち。
ワイシャツの腕を捲った記者たちがタイプライターで原稿を打ち、手書きで赤を入れて、活版を組んで、輪転機を回す。印刷工場のベルトを駆け上がり刷られた新聞が、トラックに積まれて早朝の街に運ばれて行く。
スピルバーグ監督は、新聞が作られる過程を克明にカメラに収める。
もちろんデジタル化された現在も変わらない部分もあるだろうけど、公衆電話で小銭を撒き散らしてダイヤルに指を入れる仕草、あるいはタイプの音や、活字組みに、ブン屋たちの熱気や匂いを感じた。

しかしそうして報道の自由を賭けて発行した新聞は、自分たちが投獄される可能性と、関わる多くの人の仕事まで奪う可能性も含んでいるのだ。
それでも報道に踏み切った者たちの、覚悟と誇りと意地と使命感と心意気に震える。

「報道機関が仕えるべきは国民であり、統治者ではない」

そう判決を下したのは連邦裁判所の判事だ。名言でも何でもない、ごく当たり前の「早寝早起き腹八分」レベルのことだが、それをいま敢えて問いたださなければならないアメリカ。そして日本。
日本に至っては、森友ペーパーズが報道されても、大衆がそれに乗っからないという恐怖がさらにある。そんなことより納豆の値上げをどうにかしてくれと思ってるのが我々だ。

アメリカ近代史に多少の知識がないと、よく分からない部分もあるかもしれない。僕も『大統領の陰謀』や『フロスト×ニクソン』など、いくつかの映画で得た知識くらいしかないので、大丈夫かなと心配したけど、オープニングのクリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルで一気に映画に引き込まれた。
記事へトラックバック / コメント


Both Sides Of The Sky

2018/03/30 23:03
ジミ・ヘンドリックスの『Both Sides Of The Sky』を買って来た。1968年から70年の間にスタジオ・レコーディングされた未発表曲を中心に集められた(ニュー)アルバム。

画像

ジミヘンは好きだけど、僕は一応「公式盤」しか持ってないから、初めて聴く曲が多かった(その公式盤だけでもポリドール盤とユニバーサル盤とソニー盤が混在して、何度も再発されたりしてややこしいんだけど…)
当然、一枚のアルバムとしてのまとまりには欠けるものの、僕くらいの中級レベルのファンには十分楽しめる内容だ。

中でもジミと、当時メジャーデビューしたばかりのジョニー・ウィンターが競演のルーズなブルース「Things I Used To Do」が嬉しい。お互い探り合いながらも楽しんでる様子を想像するだけでウットリ。

そしてスティーヴン・スティルスが、ボーカルとオルガンを担当する「$20 Fine」と、珍しくジミがベースを担当(公式音源では初めてかな?)する「Woodstock」の2曲は、ジミファンにはもの足りないかもしれないが、僕はスティーヴン・スティルスも好きなので得した気分。

1曲目が「Mannish Boy」のせいもあり、全体的にブルース色が強いアルバムになっていると思う。しかしこうなると、ジョニー・ウィンターと競演が1曲だけってことないだろう、とか、スティルスとは結構ガッツリと何か作ろうとしていた気配がある、とか、まだまだ眠ってる音源がありそうな気がしてしまうよ。
現在、ジミヘン音源のマスタリングを一手に引き受けてるエディ・クレイマー氏もご高齢(75才)なので、エディさん、無理せずお早めに発掘お願いします。
記事へトラックバック / コメント


リメンバー・ミー

2018/03/27 13:16
昨日は新宿バルト9にて『リメンバー・ミー』(字幕版)を観た。
平日夕方割引で1300円。

ディズニー/ピクサーによる、メキシコの「死者の日」を題材にした異色のアニメーション映画。監督はリー・アンクリッチ。

画像

近場の映画館では吹替版しか上映してなくて、字幕版を上映してる新宿バルト9へ。吹替版を否定するわけじゃないけど、夜の上映くらいは字幕版も上映してほしいところ。歌が大事な映画だから特に・・・。

これは傑作だ。「死者の日」はメキシコ独特の死生観だが、日本の「お盆」と考え方はよく似ていて、日本人でも受け入れやすい。
まず橋を渡るのも、日本でいう「三途の川」と共通している。

故・永六輔氏は「人間は二度死にます。まず死んだ時。それから忘れられた時」と言ったそうだが、永さん、あんたメキシコ人か!というほどこの映画のテーマを表している。
僕らはよく死者に対して「永さんはアッチでラジオやってるよ」みたいなことを言うが、メキシコの「死者の国」も現世の延長にある。
でも日本的な「黄泉の国」とか、ヨーロッパ的な「天国」の描き方とずいぶんイメージが違って、極彩色がきらめいて賑やかだ。
こんな世界なら死ぬのも悪くないな。でもガイコツはやだなぁ。ていうか僕なんか死んだら速攻で忘れられるだろうな、そもそも死んでも誰も気づかないパターンか・・・なんて考えてしまうけど。

マリアッチや、映画にも登場するフリーダ・カーロの芸術など、ある程度メキシコ文化に興味を持った大人の方が楽しめる映画だと思う。そういう意味でも、やっぱり字幕版上映を増やして欲しい。ちなみにヘクターの声はメキシコを代表するスター、ガエル・ガルシア・ベルナル。

あ、ポスターのデザインは日本版が圧倒的に素晴らしいと思います。
記事へトラックバック / コメント


誰が音楽をタダにした?

2018/03/24 11:35
スティーヴン・ウィット『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』(ハヤカワ文庫/関美和=訳)を読んだ。新刊940円+税。

2年前に単行本が出た時に手に取ったものの、お高めで棚に戻した本が、スピーディーに文庫化された。音楽状況は刻々と変わるからね。

画像

音楽産業が縮小した原因を探るマーケティング論的なビジネス書かと思いきや、これがノンフィクションの読み物として無類に面白い。

膨大な人物が登場するが、大まかに3つの柱がある。一つは80年代のドイツから始まる「mp3」開発者たちの物語。もう一つは90年代のノースカロライナ州のCD工場から始まる、流出元になった海賊たちの物語。そしてワーナーとユニバーサルのCEOとして90年代に音楽産業を巨大化させた男、ダグ・モリスの物語。
この3つの物語が並行して描かれ、裏側からみるポピュラー音楽史としても興味深く読める。

しかしこの本の面白さは、実は巧みな人物描写(これは翻訳の妙も大いにある)と、物語の構成力にあると思う。例えば、mp3開発の中心人物ブランデンブルグの初登場シーンを引用してみたい。

  ブランデンブルグは、お世辞にもリーダーらしく見えなかった。
  背はすごく高かったけれど猫背で、ジェスチャーも奇妙だった。
  貧乏ゆすりが止まらず、ひょろ長い身体を前後に揺らし、話す
  時には頭を回しながらうなずいていた。暗い色の髪を長く伸ば
  したままで、いつも緊張したような薄ら笑いを浮かべ、口元か
  らはでこぼこの小さな歯が見えていた。細い金属フレームのメ
  ガネの奥に、暗くて細い目が覗き、不揃いのひげがあちこちに
  飛び出していた。

引用が長ーくなってしまったが、ぐーっと引き込まれて頭の中でどんどんブランデンブルグという男の姿が具象化していく描写と、絶妙な翻訳。

この本が「犯人探し」的なトーンになってないのは、著者のスティーヴン・ウィットは1979年生まれで、自身が大学時代に海賊版の音源をハードドライブ6台満杯に集めたという、海賊版世代ど真ん中のオタクだったからだろう。しかしこの本の無類の面白さは、インターネットで拾い集めた情報ではなく、著者自身が足を運んだ綿密な取材によるものだ、となんとなく上手い感じのまとめを思いついたので、このへんで。


画像

それでは今日は、レニー・クラヴィッツで「Pay To Play」を聴きながらお別れです。遊ぶなら金払え、と。
記事へトラックバック / コメント


ラッキー

2018/03/21 17:29
今日は、ヒューマントラストシネマ有楽町にて『ラッキー』を観た。
サービスデーにつき1100円。

ハリー・ディーン・スタントン、90歳の主演作にして遺作。そしてジョン・キャロル・リンチという俳優の初監督作品。

画像

僕がハリー・ディーン・スタントンの顔と名前を憶えたのは『パリ、テキサス』からだが、その後に70年代の西部劇(例えば『ビリー・ザ・キッド/21才の生涯』とか)や、ギャング映画(例えば『デリンジャー』とか)をテレビやビデオで見てたら、出てくる出てくる。ハリウッドの「ピラニア軍団」的な、大部屋俳優を長くやっていたんだろう。

そして80年代にはフランシス・コッポラ、ジョン・カーペンター、アレックス・コックス、ロバート・アルトマン、ウェイン・ワンら一癖ある監督の映画に三番手四番手くらいのポジションで、出てくる出てくる。
「面白い映画にいつも出てくる俳優」から、「この俳優が出てるなら面白そうだ」になったのがハリー・ディーン・スタントンだ。

『ラッキー』は、完全にハリー・ディーン・スタントンのために作られた映画だった。俳優としてのイメージはもちろん、海軍時代の思い出話などは、実人生の経験が反映されているのではないだろうか。
初めから「遺作」を作ろうとしたのだと思うとちょっと切ないが、きっとこれはハリー・ディーン・スタントン流の「終活」なのだ。
「老い」や「死」がテーマではあっても、決して重たくならず飄々と、俺の人生はラッキーさ、とばかりにユーモアをにじませて描かれる。
友人役でデヴィッド・リンチが俳優として出演していて、よくあるカメオ出演以上の、印象深い演技を見せているのも楽しい。

町外れの小さな家に一人暮らしの老人。質素だけどよく手入れされた部屋には、彼のこだわりが見える。そして少々偏屈だけど、行きつけのダイナーやバーには顔なじみがいて、彼を気にかけている人が何人もいる。決して孤独ではない。なんなら僕なんか2、3日、誰とも一言も喋んないことあるからね。馴染みのダイナーもないし、ヤバイね僕は。

エンドロールで聴こえる歌は歌詞が字幕で映されるが、これまたハリー・ディーン・スタントンへの当て書きで、ちょっと堪らない。
記事へトラックバック / コメント


さらば映画の友よ インディアンサマー

2018/03/19 15:40
昨日はシネマヴェーラ渋谷にて『さらば映画の友よ インディアンサマー』を観た。最終回割引で1300円。

なんでこんなのやってるんだと思ったら、シネマヴェーラ渋谷で「ピラニア軍団」特集をやってた。マニアック過ぎじゃないの?バカだねぇ。

画像

原田眞人(映画では「真人」表記になってた気がする)の監督デビュー作『さらば映画の友よ』は、映画マニアにはわりと有名な映画らしいけど、初めて観た。僕は別に映画マニアでもオタクでもないからね。

バカだねぇ、ダンさん(川谷拓三)。シューマ(重田尚彦)の言ったことなんか真に受けちゃって。映画の主人公にでもなったつもりでやんの。
でもダンさんも、自分がバカなことやろうとしてるの、分かってるんだよな。笑ってたもんな。大好きな映画の世界でしくじったダンさんは、せめて映画の主人公みたい生きようと(死のうと)したのかい。健さんにでもなったつもりかね。僕には『タクシードライバー』のトラビスみたいに見えたよ。あ、この映画は1969年の設定だから、ダンさん観てないのか。

この映画は1979年に公開されたが、時代設定は1968年から69年にかけて。なんでそんな設定なのかというと、たぶん原田眞人監督の自伝的要素が脚本に入ってるから。シューマは沼津から新宿あたりまで通って映画を見てる。沼津ってずいぶん遠いなぁと思ったら、原田眞人は沼津出身で、1968年当時には19歳だ。シューマはアンタか。キネ旬ベストテンとか書き写してんじゃないよ。バカだねぇ。

映画は60年代後半のニューシネマ的な負け犬ムードと、一気にポップになる80年代の気配が混在して、独特の魅力を醸し出している。
映画マニアぶりが小っ恥ずかしいけど、嫌いじゃないです。でも僕は映画マニアでもオタクでもないよ。わりと映画好き、なくらいですから。
記事へトラックバック / コメント


坂道のアポロン

2018/03/16 13:24
昨日はイオンシネマ板橋にて『坂道のアポロン』を観た。
レイトショー割引1300円。

原作は2012年にアニメ化もされている小玉ユキの漫画。
監督は青春映画(しかも漫画原作)ばっかり撮ってる気がする三木孝浩。

画像

良かった。二つ結びの小松菜奈ちゃんがひたすら可愛い。まずはそこ。背が高過ぎて、小柄な知念侑李君を完全に見下ろしちゃってるのがアレだけど、律子は原作でもスラッとしてるからいいでしょう。

1966年の長崎県・佐世保。高校生三人の恋と友情とジャズを描く。
僕はこの3、4年、かなりジャズを聴くようになったので、アニメをぼんやり見てた頃と違い、今じゃこの映画でも重要な楽曲となる「モーニン」のアート・ブレイキー&ザ・ジャズメッセンジャーズとか、「マイ・フェイヴァリット・シングス」は、ジョン・コルトレーンの演奏でとか、それなりに分かるようになっている。

この映画は感動ポイントがいくつもあるが、青春映画にありがちな歯の浮くようなセリフではなく、ジャズのセッションで表現しているのが素晴らしい。千太郎のドラムと、それに応える薫君のピアノ。アドリブをぶつけ合う。そこに言葉はいらない。そして二人のセッションを聴いているその瞬間こそが「マイ・フェイヴァリット・シングス」な律子。
原作のエピソードを絞り込んで、広げなかったのも正解だったと思う。
逆に原作ファンには、端折り過ぎに感じたかもしれないけれど。

佐世保は米軍基地があり、米兵が集まるジャズ・バーや、古い教会なども実際あるだろうし、時代設定と場所に必然がある。これが3年後、1969年ともなると、もっと世の中は騒然として、ロックがジャズに取って代わる。その辺は、1969年の佐世保を舞台とした村上龍原作、李相日監督の『69 sixty nine』(こちらも傑作)を合わせて観たいところ。

ところでエンドロール。小田和正による感動的な主題歌が流れる。うん。すごく良い歌だ。でもなぜ、余韻を断ち切ってまで小田和正なのか。あのまま「マイ・フェイヴァリット・シングス」で良くないですか?

あと、二つ結びの小松菜奈ちゃんがひたすら可愛い。
記事へトラックバック / コメント


15時17分、パリ行き

2018/03/11 20:11
昨日はシネマサンシャイン池袋にて『15時17分、パリ行き』を観た。
レイトショー割引1300円。

映画館窓口で「15時17分パリ行き、20時40分の回」と、ちょっとややこしい感じになるクリント・イーストウッド監督の新作。

画像

2015年、アムステルダムからパリ行きの高速鉄道内で起きたテロ未遂事件を、3人のアメリカ人青年の本人出演で再現するという実験作。
そんなせいか、イーストウッド作品としては珍しく、賛否両論な感じだったので、さてどんなもんかと・・・。

なんだい、ただの傑作じゃないか。感動が止まらないよ。
映画は回想で、彼らの少年時代を描くが、揃って落ちこぼれの問題児、校長室に呼ばれる常連だった。また彼らのママたちも、年中学校から呼び出しくらうが、校長先生にケツまくる肝っ玉ママぶりがまた素敵だ。先生、この子たちが将来何をやってのけるか見ておけよ、と観客は思う。
やがて3人中2人は軍隊に入るが、そこでもやっぱり落ちこぼれ。
どこまでも普通の、なんなら普通以下の青年たちということを見せる。
しかし大事なのは、子供の頃から一貫して、人助けをしたいという思いを持っていたこと、そして落ちこぼれとはいえ、軍隊で訓練を受けていたことは重要なポイントだ。彼ら自身は、後付感があるにしても、列車に乗り合わせた事に運命的なものを感じているようだ。

学校で優等生だろうと軍隊でエリートだろうと、いざ事が起こったときに動けるかどうか。あんたは動けるのか、と映画は突き付けてくる。そこで動いた彼らの勇気をイーストウッド監督はストレートに、映画的な脚色を排して、しかし十分に感動的に伝える。

そして彼らはフランスから勲章を授与され、さらにはクリント・イーストウッド監督作品に主演するご褒美を得たのだ。素晴らしい。
記事へトラックバック 0 / コメント 2


ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか

2018/03/07 01:39
島田裕巳『ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか』(イースト新書)を読んだ。新刊861円+税。

画像

大変興味深い。僕も「ロック史」的な本は沢山読んできたけれど、ロックを「宗教」から紐解くとは、流石に宗教学者にしか書けない本だ。
日本人の中には「宗教」に反発する人も多いと思う。音楽を楽しむのに、アーティストの宗教観は関係ないと。でも僕はここ最近、宗教に関心のある(信仰を求めている訳ではない)タイミングだったから飛びついた。

本書のタイトルは、ジョン・レノンが「神(GOD)」という曲で、神や聖書やジーザスを否定した歌詞に対するもの。
たぶんキャッチーだから選ばれただけで、本文では他に「エルヴィス・プレスリーは、なぜゴスペルを歌ったのか」「ボブ・ディランは、なぜキリスト教に改宗したのか」などのテーマで書かれている。
そしてこの三者は、エルヴィス・プレスリー(=幼少の頃から教会に通う習慣がありゴスペルに親しむアメリカ人)、ボブ・ディラン(=ユダヤ系の環境に育ちキリスト教的ではないアメリカ人)、ジョン・レノン(=カトリック系の環境で育つが関心の薄いイギリス人)と、3パターンのサンプルにもなっている。

一番複雑で面白いのはボブ・ディランだろう。ユダヤ系に育ったディランは70年代後半に突然キリスト教に改宗したとされ「ゴスペル三部作」を発表。その後再びユダヤ教に戻ったともいわれるが、ゴスペル曲はその後もライブで歌ってるし、クリスマス・アルバムまで発表するのだ。
クリスマスを祝った数日後に初詣にいく日本人としては、そんなに不思議に思わなかったが、確かにディランの宗教観はよく分からない。

でもユダヤ教とキリスト教は同じ神様を信仰(ついでにいうとイスラム教も同じ)しているから、実はそんなに180度転換したともいえない。
欧米では、日本人よりは聖書に親しむとはいえ、一般的なアメリカ人は、案外と信仰もボンヤリしたものなんじゃないだろうか。島田裕巳もだいたいそんな結論に落ち着いている。ディランとしては、ある時期キリスト教ブームだっただけで、例えば近年のディランがシナトラ・ブームなのと一緒くらいの意味じゃないかという気がする。

そういえばパッと思い出すだけでも、最近よく聴いてるメイヴィス・ステイプルズはゴスペル歌手だし、バーズとか、レニー・クラヴィッツにも、たくさん神様の歌があるのに気づく。歌の背景を知るには、もうちょっといろいろ研究してみたい。


画像

それでは今日は、ボブ・ディランのゴスペル曲のゴスペル・アーティストによるカバー集『Gotta Serve Somebody』より、唯一本人参加のナンバー、ボブ・ディラン&メイヴィス・ステイプルズの「Gonna Change My Way of Thinking」を聴きながらお別れです。
記事へトラックバック / コメント


シェイプ・オブ・ウォーター

2018/03/02 09:26
昨日はシネ・リーブル池袋にて『シェイプ・オブ・ウォーター』を観た。
サービスデーにつき割引1100円。

メキシコ出身、ギレルモ・デル・トロ脚本・監督による、大人のファンタジー映画。大人の、にはセクシャルな意味も含まれます(R15+)。

画像

ポスターで既にネタバレしてるから書いてもいいと思うけど、要は「アマゾンの半魚人」が、こんなにも美しいファンタジー映画になるとは。
デル・トロ監督は徹頭徹尾、画面の色彩から、建物や室内のデザイン、登場人物のファッションまで作り込むことで、現実感を排し「ファンタジー映画」であることを強調している。
時代設定は、映画には表記が無かった気がしたけど、公式ホームページをみると1962年らしい。冷戦下であることと、現代ではないことは、割と重要な物語の要素となる。

とにかくヒロインのイザベラ(サリー・ホーキンス)が素晴らしい。声を出せない女、特に美人でもないし若くもない、地味ぃな、ただの掃除のおばちゃんなんだけど、果てしなく魅力的だった。隣人で画家/イラストレーターをしている初老の男ジャイルズや、敵役のストリックランドまで、彼女に惹かれているのも納得。テレビのミュージカル映画を真似て、ステップを踏むところなど、可愛くって仕方がない。演じたサリー・ホーキンスにとっても間違いなく代表作となるはず。

一方の半魚人、彼には名前がないから、さかなクンとでも言おうか。さかなクンの造形も絶妙だ。伝統的な半魚人のギョギョッとなるグロテスクさもありつつ、どこか愛嬌がある気がしないでもない、という。
かすかに石ノ森章太郎チックなところも、僕ら世代にはたまらない。

物語としてはモンスター映画の定番『キングコング』とか、懐かしいダリル・ハンナの『スプラッシュ』あたりのパターンだけど、さかなクンを助けるのが社会のあぶれ者たちで、彼らの人物像を掘り下げることで、深みを出している。でも主要部門でアカデミー賞にノミネートされているのはやや意外。ひっそり公開されてファンタスティック映画祭あたりで評価されるタイプの、愛すべき映画って気がするんだけどな。
記事へトラックバック 0 / コメント 2


今夜、ロマンス劇場で

2018/02/24 12:50
昨日はイオンシネマ板橋にて『今夜、ロマンス劇場で』を観た。
レイトショー割引1300円。

予告編を見て、ウディ・アレンの『カイロの紫のバラ』みたいな映画なのかな、と思って楽しみにしていたやつ。監督は武内英樹。

画像

物語のメイン舞台は昭和35年。撮影所の助監督として働く青年(坂口健太郎)は、馴染みの映画館・ロマンス劇場で、戦前の三流映画のお姫様役(綾瀬はるか)に見惚れていると、ある夜、スクリーンの中からお姫様が抜け出してくる。
モノクロ映画の中から抜け出して来た人物とのロマンス、という点では、『カイロの紫のバラ』はそう遠くはなかった。

映画から出てきたドSなお姫様と下部の関係を楽しむ青年だが、映画会社の社長令嬢(本田翼)も、密かに青年に思いを寄せていた。
おい坂口健太郎よ。綾瀬はるかと本田翼の二択かよ。贅沢過ぎやしないかね。現実味の無いお姫様より社長令嬢だろう。しかも本田翼だぞ。社長令嬢が性格悪いっていうならまだ分かるけど、メチャメチャいい娘じゃないか。しかも本田翼だぞ。

みんなネタバレを嫌うからあんまり書けないけど、なるべくボヤかして書くけど、どんなに楽しい映画でも、映画が終わって劇場を出ると、現実に戻る。イオンシネマを出ると、そこには綾瀬はるかも本田翼もいない。映画ってそういうもんだから。そこは受け入れなきゃいけないと思うのだ。
『カイロの紫のバラ』のミア・ファローも、現実に戻って行った。現実に戻って次の映画に目を輝かせる。映画ってそういうもんだから。

白黒映画のあの三銃士は、あのままでいいのか。雨の中あんなに探した御守りはなんだったのか。映画館で見る『カサブランカ』に意味はなかったのかとか、伏線のようで何にもなかったエピソードの数々はまあいいとしても、一晩考えて見た結果、やっぱりあの展開は違うと思うなぁ。
記事へトラックバック 0 / コメント 2


スリー・ビルボード

2018/02/16 00:06
またまたイオンシネマ板橋にて、『スリー・ビルボード』を観た。
レイトショー割引1300円。9時台のレイトショーはありがたい。割引システムはもっとありがたい。

監督・脚本はマーティン・マクドナーというイギリス人。強烈なインパクトのチラシと、そそるキャスティングに興味を持ったけど、なんにも情報なしに観た方が面白そうな映画なので、そんな感じで劇場へ。

画像

結局なんなんだよ!というモヤモヤと、良い映画を観た満足感の両方が、頭の中をぐるぐるしながら帰路についた。
つまりは「怒りの矛先を間違えるな」ということか。それと「赦し」の映画でもあるのかもしれない。
舞台はミズーリ州のド田舎。閉塞感と人種偏見に満ちた住人たち。しかしこれはよくいう「アメリカ社会の闇」的な映画ではなかった。この映画に出てくる主要人物は、信じるに足るアメリカ人だった。簡単に共感できる人間は出てこないが、この映画は「性善説」にもとづいていると思う。
やはりイギリス人監督、マシュー・ヴォーンの『キングスマン:ゴールデン・サークル』あたりの方が、ずっと根深いアメリカの闇を感じたよ。

フランシス・マクドーマンド、ウディ・ハレルソン、サム・ロックウェルの3人は、ちょっと地味目かもしれないが、タイトル通り「三枚看板」の役者だ。それぞれが物語の中で、最初の印象と変わっていく。
演技も達者だけど、この脚本の巧みさは唸るしかない。
記事へトラックバック / コメント


キャレキシコ『The Thread That Keep Us』

2018/02/14 23:33
そんなキャレキシコの新作『The Thread That Keep Us』が出た。
CALEXICO(キャレキシコ)とは、CALIFORNIA(カリフォルニア)とMEXICO(メキシコ)を合わせた造語。キャレキシコの拠点のアリゾナ州は、西にカリフォルニア州、南にメキシコが接する。そんな土地柄を意識的に反映させた独特のバンド。もう20年以上のキャリアを持つ。

初期の頃はインストナンバーも多く、エンニオ・モリコーネ調の架空の映画音楽的な、砂漠をユラユラ彷徨ってるようなサウンドだったが、僕の感じでは、2006年に発表した『Garden Ruin』から方向性が大きく変わって、歌もの中心にぐっとポップになった。「売れ線」と言うほど売れてないだろうけど、視線を外に向けたのだと思う。

画像

今作は国内盤にボーナストラックが7曲も入るって言うから、ボーナスは貰っておかないと、と国内盤を購入。でも一聴してこれはなかなかの大作だぞと分かったので、一旦ボーナストラックを外してiPodに入れて、本編をまず聴き込むことにした。
僕のような旧世代の人間は、いまだにアルバムのコンセプトとか、曲順にこだわって聴いてしまう。キャレキシコも同世代だからそうやって作ってるんじゃないかと。

スケールの大きな「End of the World with You」から始まり、今まで以上に雑多にマリアッチやレゲエ、スペイン語楽曲まで取り込み、メキシコ人のコミュニティや、ヤバイ地域も通り抜けて、国境沿いを旅するロードムービーのような楽しさと奥深さを味わえる。

しばらく本編を堪能した後で、ボーナストラック7曲を聴いてみる。
こちらはキャレキシコ初期の頃から変わらない、あの独特の砂漠を浮遊するような音空間が健在だ。こっちはこっちで、ある意味安心する。
自分たちの音楽的なベースをしっかり持ちつつ、本編では彼らなりに実験的なサウンドを試みていたってことなのかな。
記事へトラックバック / コメント


オンブレ

2018/02/13 00:22
エルモア・レナード『オンブレ』(新潮文庫/村上春樹=訳)を読んだ。
定価550円+税。

ノワール小説の巨匠、エルモア・レナードは何冊か読んでいて、いずれも高見浩の翻訳で親しんできたが、村上春樹の翻訳とはこれいかに。

画像

文庫の帯でネタバレしてる通り、これはゴリゴリの西部小説じゃないか。
2編収録されていて、表題作の『オンブレ』はポール・ニューマン主演で『太陽の中の対決』として、『三時十分発ユマ行き』はグレン・フォード主演『決断の3時10分』と、ラッセル・クロウ主演『3時10分、決断のとき』として、二度映画化されている。
訳者あとがきの中で「今どき西部小説を好んで読む人なんて、世の中にそれほどたくさんいないだろう」と書いているけれど、これは「村上春樹」の名前がなかったら、翻訳が出なかったかも知れず、それだけでも村上春樹に感謝したい。

『オンブレ』は、映画の何気ない描写の裏の心理戦がグイグイ迫ってきて(わりと地味な映画なのです)、映画版を見直したくなった。主人公もポール・ニューマンをイメージして、ブレなく読める。
『三時十分発ユマ行き』はすごく短い短編小説だったことに驚いた。
しかし映画化に当たって、設定の変更は多々あるものの、どちらも原作の本質を突いた良い映画化だと思う。

「オンブレ」とは「男」という意味のスペイン語なんだそうだ。
この本の2編は「男らしさ」についての小説だ。「漢(おとこ)」と書くやつ。昨今は「男らしさ」なんて言うと、男尊女卑的と批判されたりするんだろうけど、それに変わる言葉がないから仕方がない。


画像

この2編はアリゾナの荒野が舞台。アリゾナのバンドといえば、キャレキシコ。というわけで今日はキャレキシコで「クリスタル・フロンティア」を聴きながらお別れです。
記事へトラックバック / コメント


続きを見る

トップへ

月別リンク

おやぢロックの友:アウトテイク/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる