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おやぢロックの友:アウトテイク
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好きな音楽のこととか、映画のこととか、なんかユルユルなことをメモ的に書いてみます。日記はムリ。自己紹介ったって、あとは何だ、好きなものでも書いておくか。アメリカン・ロックとか、西部劇全般、クリント・イーストウッド、サム・ペキンパー・・・おやぢ臭いな。えーと、ルーシー・リューが好き。
そうだ、あと、女子ソフトボールを応援してます。

■ブログにメアドは載せない方がいいらしいけどね。
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チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々

2018/01/15 13:03
『チャップリン自伝 栄光と波瀾の日々』(中里京子=訳/新潮文庫)を読んだ。新刊990円+税。

昨年、前編を読んだ時から楽しみにしていた後編。書店で手に取ると700ページ近いボリュームに一瞬躊躇してしまったが、思い切って購入。

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前編は、ロンドンの貧しい少年が舞台役者として成功し、いよいよ映画界のスターへ駆け上がる物語だった。
そして後編は、いよいよ『キッド』『街の灯』『モダン・タイムス』『独裁者』等々、数々の名作が生まれるのだが、この本には映画の制作秘話はほとんど書かれていなく、そこは多少の肩透かし感はある。
解説(大野裕之氏)によると、チャップリンは「裏話を書くと、魔法の種明かしのように、作品の面白さが消えてしまう」と考えていたらしい。なるほどそういうものか。

なので大半はプライベートの話に費やされ、チャップリンが各国で出会った著名人との交友録となる。映画人はもちろん、舞台人、作家、音楽家、芸術家、政治家まで。例えばアインシュタイン、ジャン・コクトー、ピカソ、スタインベック、H.G.ウェルズ等から、僕が知らない人も沢山出てくるが、これはこれで二十世紀の文化の貴重な記録になっている。
「成り上がった者の自慢話」との批判もあったそうだが、僕の想像では、交友のあった人々から「チャーリー、あいつとのことは書いて、俺のことは書かなかったのかい?」なんて言われないために、思い出す限り書いてこのボリュームになったと思われる。

後半は、映画がサイレントからトーキーの時代へ移り、苦悩するチャップリン。そしてストーカーまがいの女とのスキャンダル裁判、さらにはいわれのない「赤狩り」でアメリカを追放になるなど、まさに「波瀾」の人生に。アメリカ側からすると「追放」だが、チャップリンの方からアメリカに失望し、渡欧中に再入国許可証を返上したのようだが。

 賢人だろうが愚人だろうが、みなもがきながら生きるしかないのだ。
              (677p/チャールズ・チャップリン)


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というわけで、今日はR.E.M.の「キング・オブ・コメディ」を聴きながらお別れです。
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キングスマン:ゴールデン・サークル

2018/01/09 14:50
昨日はイオンシネマ板橋にて『キングスマン:ゴールデン・サークル』を観た。月曜サービスデーにつき1100円。

マシュー・ヴォーン監督によるスパイ・アクション映画の続編ってことなんだけど、前作は観てない。今回はジェフ・ブリッジスが出てると知り、それなら観てみようかなと。

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『キック・アス』などで知られるマシュー・ヴォーン監督は、ものすごくポップで洗練された映像と、下品でグロテスクな悪趣味が混在してるのが持ち味。僕は苦手です。悪趣味映画としか。
そして、こういう映画が評価が高く、観客にもウケてるってことに、つくづく僕はオールド映画ファンになってしまったのだなぁ、と肩が落ちる。全然ノリについていけません。マシュー・ヴォーン監督とそんなに歳は変わらないとは思うんだけど・・・。

いや全然退屈はしないよ。ていうかムチャクチャ楽しんだよ。ジェフ・ブリッジスも出番は少ないながらオイシイ役だったし。エルトン・ジョンの下りは笑ったし。

しかし後味は悪い。目を背けたくなるグロ描写も多いし、ドラッグがあれほど日常に入り込んでるのも驚くし、あまりにも多くの人が死ぬし、死んだと思われた人間が簡単に生き返るし、僕は決して道徳的な人間じゃないと思うけれど、この映画がPG12って甘過ぎじゃないですか?と心配してしまったよ。
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レディ・ガイ

2018/01/08 16:23
昨日は新宿シネマカリテにて『レディ・ガイ』を観た。
男らしく通常料金を払って1800円。

殺し屋の男がヘマをして、性転換手術で女にされてしまう、というプロットを読んだだけで、ダメ映画の香りがプンプン漂うのだが、監督がウォルター・ヒルとなれば、観逃すわけにいかず。たかがウォルター・ヒル、されどウォルター・ヒル。腐ってもウォルター・ヒル。

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どこからツッコんでいいか分からない脚本なんだから、いっそコメディ調にした方が良かったと思うんだけど、大真面目に撮るんだもんなぁ。
上映時間が90分台(そこだけはウォルター・ヒル印)のわりに、展開がまどろっこしいし、ミシェル・ロドリゲスの熱演をもってしても、鈍ったなウォルター・ヒル・・・とガッカリ感が。
でも考えてみれば、ウォルター・ヒル監督で文句ナシに良かったのって、ごく初期のほんの数本だけなんだよね、その初期作品が刷り込まれてるばっかりに、つい過度に期待してしまうのだ。

序盤、髭面で精一杯男らしく演じるミシェル・ロドリゲスだが、男にしては小柄だし、大きなタレ目が可愛らしい。この辺はちょっと見どころ。
性転換手術後は、目が覚めたロドリゲスが、自分の身体を確認するためにヌードになるのはちょっと得した気はするけど、それももうちょっとスマートに表現できなかったのかと。せっかくのミシェル・ロドリゲスの持ち前の肉体美を、もっと活かす場面があってもいいだろうに。

時折り挿入される劇画風の画面も大して意味があると思えないし、途中で飼うことになった闘犬も何ら活躍せずとはなんなのよ。
往時のウォルター・ヒル監督ならここできっと・・・いやもうよそう。
近年のアメリカ映画にしては、アクロバティックなアクションは無く、いたって渋めのタッチで、残酷描写もわりと控え目。そこは良かったかな。
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ

2018/01/02 14:52
昨日はイオンシネマ板橋にて『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』を観た。2D/字幕版。サービスデーにつき1100円。

『フォースの覚醒』から2年ぶり。あんまり憶えてないけど、とりあえず縁起物ってことで観にいった。前作の監督J・J・エイブラムスは製作に回って、今回はライアン・ジョンソンという人が監督。

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観ているうちにだんだん思い出してきた。そうそう主役の女の子、レイは可愛いんだよね。そうだったそうだった、フィンって元はあっち側だったんだよな。頑固な独居老人なんて、こんなルークは嫌だ。ルークもレイアもすっかりアレだけど、チューバッカは相変わらず若いなぁ、なんて。

C-3POとR2-D2が出てくると、そういやこのシリーズ。最初に観たのは僕が小学生の頃だぞ。自分が生きてる間に完結編を観ることが出来るんだろうか、と不安になってきた(一応9部作としては次が完結のはず)。

今作の新たなキャラクターで出色は、アジア系の女の子ローズだろう。ローズっていうよりブー子って顔してる。今までのシリーズはアジア系の人間が出ていた印象がなく、なかなかの異物感。しかもブー子。でも頑張ってたと思うよ。

予告編で見たけど次はスピンオフで、ハン・ソロの若き日の物語が作られるんだとか。監督はロン・ハワード。これも楽しみだけど、主役の俳優がハリソン・フォードに全然似てないんだよね。もうちょっと似た感じの役者はいなかったのかなぁ。似てればいいってわけじゃないにしても、俺たちのハン・ソロだからさ。
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ニール・ヤング『ザ・ヴィジター』

2017/12/31 17:32
ニール・ヤング(72歳)の新作である。この人はアルバムのリリースペースが早い上に、過去の発掘音源も続々と出るから、もう追いかけるの諦てる。だから久々の購入となった。
この秋からクリス・ヒルマン、スティーヴン・スティルス、デヴィッド・クロスビーら、かつての盟友たちの充実したアルバムの発表が続いたので、どれ、久々にニール・ヤングも聴いてみようか、と思ったのだ。

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これで3作目となるらしいバックバンドの「プロミス・オブ・ザ・リアル」は、ウィリー・ネルソンの息子たちを含む、というからカントリー・ロックを想像すると、ほとんどカントリー・テイストは無く、ごった煮サウンドだった。ヘビィなギターのリフでいきなり、

  ちなみに俺はカナダ人で
  アメリカが大好きだ
  こんな生き方が大好きだ  
  行動の自由、言論の自由が

という痛烈なメッセージから始まる。かなりジャーナリスティックに、今のアメリカ社会に、世界の現状に、怒り心頭のニール・ヤング氏だ。
トランプが選挙戦で勝手に「ロッキン・イン・ザ・フリー・ワールド」を使ったことにブチ切れてると思われる。
政治的な言論の規制は、日本も他人事じゃない。テレビなどで政権批判すると与党から文書が届いたり、もっと深刻なのは、視聴者が政権批判する人間を叩く現象だろう。国民が政権批判を求めてないのだ。
また音楽フェスで政治的な発言をすると、これもファンに嫌われるそうだ。音楽と政治は分けて欲しいと。そんな中、怒れるジジイは歌う。

  壁はいらない 憎しみはいらない
  ファシストのアメリカはいらない

正直なところ、このアルバムは5年後10年後にも聴かれ続けるような名盤ではないと思う。ごった煮サウンドは詰め込みすぎだし、6曲目や8曲目あたりは、ちょっと芝居掛かった大仰さを感じる。
しかしニール・ヤングの場合、いま歌いたいこと録って出し的なスピード感こそが重要なんじゃないだろうか。
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スマートモテリーマン講座

2017/12/30 14:40
昨日は天王洲アイル銀河劇場にて『スマートモテリーマン講座』を観劇。

脚本・演出に福田雄一。キャストは安田顕、戸塚純貴、若月佑美(乃木坂46)、水田航生、長谷川忍(シソンヌ)、じろう(シソンヌ)他。

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いやぁ笑った笑った2時間半。演劇のようなコントのような講座だった。
満員の銀河劇場は客層も幅広い。演出の福田雄一、安田顕、シソンヌ、それに若月さんと、それぞれ自分の客を持ってる人たちだから当然だ。

安田顕は講師として、いわゆる狂言回し。主演は戸塚純貴が演じるアニメオタクの27才サラリーマンで、彼が同僚のOL・若月佑美にモテるために奮闘する、まあラブストーリーと言ってもいい。
アニメネタ満載。だけど脚本が福田雄一だから、わりと懐かしめの「タッチ」とか、メーテルとか、ガンダムとか、僕でも知ってるネタだった。

サラリーマンコントにシソンヌは最高にハマる。長谷川はおもに、主人公の上司にしてツッコミ役(他にも多数演じる)。じろうは、おもに同僚の戦争ゲームオタクと、ヒロインの友達の女性役(他にも多数演じる)で、その異常っぷりを発揮する。この辺、かなりシソンヌの二人が自由にキャラを膨らませてるんじゃないだろうか。

そしてヒロインの若月佑美がとっても良かった。僕は乃木坂46のことはそんなに知らないけど、テレビドラマ『初森ベマーズ』での若月さんは印象的だったし、乃木坂メンバー出演の舞台『すべての犬は天国へ行く』でも、若月さんの演技が光っていたのを憶えている。
顔が舞台映えするのはもちろん、普通のOL役からアニメ声、スケ番のドスの効いた演技までしっかりやり切るし、ちょっとしたミュージカルシーンのダンスのキレは、さすが現役アイドル!と思った。
大ファンかよ、おれ。読み返したら若月さんだけ「さん」付けてるし。今後の活躍に注目させていただきます。
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ぶたぶたラジオ

2017/12/29 13:23
矢崎存美『ぶたぶたラジオ』(光文社文庫)を読んだ。
新刊・定価480円+税。

よくわかんないけど、ぶたがラジオに出るって、なにそれ面白そう、と思って買ってみた。

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初めて読んだが、矢崎存美さんは生きてるぬいぐるみのぶた「山崎ぶたぶた」シリーズを19年も書いているそうだ。童話なのかなと思ったら、内容は必ずしも子供の物語ではなかった。

そう、山崎ぶたぶたは、ぶたのぬいぐるみ。そして喋る。ていうか生きてる。しかも中身は中年のおじさんときた。
ここで映画好きは『テッド』を思い出す。アイツも喋るテディベアで中身はオッサンだった。この小説もまあ、あんな感じと思ってもらえばいい。
ただしテッドは、下品で毒舌でエロオヤジだったけど、山崎ぶたぶたさんは、優しくて心が広い素敵なおじさまだ。

とりあえずこの設定を受け入れなきゃ、この小説は楽しめない。山崎ぶたぶたさんは、AMラジオ朝ワイド番組の中で「悩み相談コーナー」を担当することになる。渋い声と優しい回答で人気コーナーに。

三編収録で、最初は番組パーソナリティ自身の娘との接し方。二つ目は番組女子アナの悩み。三つ目はリスナーの主婦の悩み相談。
誰にでも、どこにでもあるような悩みで、あくまでこの小説の世界は壊さない。でも誰でも思い当たる悩みの方が読者も共感しやすいだろうし、AMラジオで朝から、桜木紫乃の小説みたいなヘビーなの聴かされたら困っちゃうからね。


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それでは今日は「ぶた」って、このジャケしか思いつかなかったから、CAKEの『Prolonging the Magic』より「Cool Blue Reason」を聴きながらお別れです。
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希望のかなた

2017/12/25 02:03
昨日は角川シネマ有楽町にて『希望のかなた』を観た。
日曜最終回割引で1100円。

アキ・カウリスマキ監督の新作。チラシの解説によると『ル・アーヴルの靴みがき』に続く、難民3部作の2作目に当たるそうだ。

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前半は二つの物語が並行して描かれる。シリア難民の青年カーリドの物語はシリアスなタッチで、いつものカウリスマキ映画とムードが違う。
一方、初老の男ヴィクストロムの物語は、無口で無表情で無愛想で不器用な連中の、つまりいつもの見慣れたカウリスマキ映画だ。

要するにカーリドは、カウリスマキの世界に飛び込んで来た異邦人でもあるのだ。そして中盤で二人が出会い、物語が加速する。
無口で無表情で無愛想で不器用な連中の、ユーモアと優しさが溢れる。
レストランの壁では、なぜか大きなジミ・ヘンドリックスのポスターが、彼らを見守っている。

しかし考える。僕たち日本人にとってフィンランドもシリアも遠い国だ。僕なんかフィンランド情報の9割は、カウリスマキ映画から得ている。だからフィンランドの人はみんな無口で無表情なんだと思ってる。
カーリドを応援し、無知なネオナチを憎み、ヴィクストロムたちの優しさに感動しているが、では例えばシリア難民が日本に来たら、日本人は受け入れるだろうか。不法滞在だと知ったら僕はどうするだろうか。あるいは仮に、北朝鮮からの難民が来たら僕たちはどうするだろうか。
久々のカウリスマキ・タッチに酔いしれて、感動と優しさと希望のかなたに、苦い余韻を味わいながら帰宅した。
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ゴッホ 最期の手紙

2017/12/23 12:52
昨日は新宿シネマカリテにて『ゴッホ 最期の手紙』を観た。
日本語吹替版。やむなしの通常料金1800円。

ゴッホの絵を動かすという、とんでもないアイデアを実現させた、イギリスとポーランド制作による驚愕の油絵アニメーション映画。
とにかくゴッホの数々の絵画が動き出すことに、まず感動する。

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主人公はゴッホではなく、アルマン・ルーランという青年だ。彼ももちろんゴッホの絵の登場人物。そういう点では、この映画はゴッホの絵画と人生について、大まかな知識があった方が楽しめると思う。

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そのアルマンを探偵役とした、ゴッホの死の真相を探るミステリー仕立ての物語。観客はアルマンと共に、ゴッホの描いた風景の数々、カフェや町角や畑や川を歩き、ゴッホの描いた人々と会う。そうして観客も次第にゴッホの絵の中に入っていくような不思議な感覚を味わう。アーティスティックなアトラクション映画なのだ。

死の真相については、これも一つの説、として見ておいた方がいいだろうか。証言者たちはみんな違ったゴッホ像を語る。ある人は落ち着いた良い奴だったと言い、ある人は邪悪な男だったと言う。人にはいろんな面があるわけで、こういうのは大抵、全部が本当なのだろう。
脚本・監督のドロタ・コビエラは、こういう映画を作っちゃう人だから当たり前だけど、ゴッホに最大限の敬意を払い、証言から浮かび上がるゴッホは、最終的にはとても魅力的な男として描かれている。

予告編でやってた『ゴーギャン タヒチ、楽園への旅』もぜひ観たい。
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ホワイル・マイ・三味線・ジェントリー・ウィープス

2017/12/05 13:35
『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』のエンディング・テーマ
「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」の
MVがYouTubeにあった。
この動画でも、映画の素晴らしさは伝わるのではないでしょうか。



もちろんビートルズ時代のジョージ・ハリソンによる名曲です。
ここで歌っているのは、レジーナ・スペクターという歌手のようです。

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また、こういう骸骨オバケのイメージは、

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歌川国芳のこういう絵がイメジネーションの元になってると思うのです。
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KUBO/クボ 二本の弦の秘密

2017/12/03 01:58
昨日は大泉学園のシネコン、T・ジョイSEIBU大泉にて『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』を観た。覚悟の通常料金1800円。

こいつは見逃すわけにいかないぞと、大泉学園は東映撮影所の隣のシネコンへ。駅から遠いんだよ。信じられないくらい閑静な住宅地を歩いて、道を間違えたかなという不安と戦いながら歩くと、そこにある。

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これはとんでもない傑作だ。スタジオライカ制作、アメリカ人スタッフによる、驚異のストップモーション・アニメで綴る、華麗なる日本絵巻。

どこから褒めればいいだろう。まずはストップモーション・アニメの技術が素晴らしいが、あまりに素晴らしいので、むしろ技術的なことは一旦忘れて、物語に没頭した方がスタッフも本望じゃなかろうか。

舞台はニッポン。むかしむかしあるところで。日本の文化や風習、仏教的思想を取り入れながらも、日本のどの昔話にも似ていない。そのオリジナリティと、イマジネーションの豊かさに感動する。
三味線の音色で、折り紙の人形や動物を自在に操る少年・クボ。陰陽師の紙人形がヒントになっているのだろうか。三味線で折り紙を操る発想に驚くし、ストップモーション・アニメに向いてる素材だ。

「月の帝」に母を殺されたクボは、仇討ちの旅に出る。道中で気の強いサルと、弓の名手の侍・クワガタが仲間となり、伝説の「刀」と「鎧」と「兜」を探し出すが…。
美しくて、恐ろしい物語だ。闇の姉妹などゾクゾクするほど怖い。

トラヴィス・ナイト監督は、黒澤明や宮崎駿を敬愛する日本マニアだそうで、なるほどそれは頷ける。背景や構図には、北斎や国芳の浮世絵のイメージも取り入れている。それも嬉しいが、日本のイメージの寄せ集めで終わらずに、逆に日本人には思いつかない自由な発想にこそ「見たことのない日本を見せてくれて有難う」と、拍手を送りたい。

ひとつだけ難点を言うと、日本人的には「KUBO」という名前がどうもしっくりこない。キャラクター・デザイナーの日本の友人の名前から取ったそうだが、クボさんがそこで浮かれずに「TARO」とか「JIRO」にした方が無難ですよ、となぜアドバイスしてくれなかったのか。

エンディング・テーマには、三味線バージョンの「ホワイル・マイ・ギター・ジェントリー・ウィープス」ときた!アニメ作品ながら、観客はほとんど大人で(字幕版だからかもしれない)、大人たち感涙。
日本の物語だから、日本語吹替版で見ても良かったかもしれないなあ。
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チャットモンチーとわたし。または衝撃について。

2017/11/27 11:50
チャットモンチーが、来年7月での解散を発表した。僕が初めて買ったのは2012年に発売されたベスト盤という超にわかファンなので、残念がるのもアレだけど、やっぱり残念だ。

僕も十代、二十代のうちは感受性がビンビンしてたから「衝撃的な音楽との出会い」を何度も経験してきた。ところが大人になるにつれ、何百枚とレコードやCDを聴くとヘンに耳がスレてしまうし、年と共に感受性も鈍化する。だから新しい音楽を聴いて、この曲いいな、このバンド面白いな、と思うことはあっても「衝撃」は減ってしまうのだ。

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チャットモンチーの「シャングリラ」を初めて聴いたのは、恵比寿から渋谷へ歩きながら、イヤホンで聴いていたラジオだったのを覚えてる。
でも「すげぇバンドが出てきたな」とは思ったものの、とっくに大人だった僕は、CDを買うには至らなかった。

そして2012年。ベスト盤が発売されたのを知り、僕は軽い気持ちで買ってみたのだった。そしたらなんてこったい、これが久々の、もういつ以来か思い出せないくらいぶりの、まさに「衝撃」だった。
し、しまった!僕がアメリカン・ロックにうつつを抜かしている間に、日本のロックはこんなことになっていたのか!という焦り。四十も過ぎて、まだ音楽に衝撃を受けることが出来るとは!という嬉しさもあった。

トリオ編成とは思えない圧倒的な演奏力。突き刺さる言葉のセンス。橋本さんの切実なギターと切実なボーカル。ロックってこういうことだよな、と今さら思い出し、僕は夢中になって毎日聴いていた。
のめり込んだ僕は、過去のアルバムを毎月一枚ずつ買っていく作戦を敢行した。「大人買い」しても聴ききれないから、毎月一枚買って、それを聴きまくるのだ。その前に「大人買い」するお金がないからだけど。
それから数ヶ月間、もう全曲解説したいくらいに聴いた。

当然、新作も買う。前期チャットモンチー・サウンドの核ともいえた、ドラマーの高橋さんの脱退は、バンドの方向性を大きく変えたが、試行錯誤しながら前に進む二人の姿は、やっぱりロックってこういうことだよな、と思った。

公式サイトによると、チャットモンチー「完結」とある。この表現には、やりきった感があるし、前向きな次の展開への予感もある。
別のユニットになるのか。ソロアルバムになるのか。いずれにしても、これからも、橋本さんと福岡さんの音楽活動に期待したい。
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アトミック・ブロンド

2017/11/20 09:39
昨日は角川シネマ新宿にて『アトミック・ブロンド』を観た。
レイトショー割引があると思い込んで行ったら僕の勘違いで、無念の通常料金1800円。面白かったからいいけどさ。

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近場のシネコンであっという間に終わってしまい、劇場が移ってようやく観ることができた、シャーリーズ・セロン主演の女スパイ映画。

この映画の魅力は、1989年のベルリンという時と場所にある。「ベルリンの壁」崩壊直前。街並は灰色で退廃的だが、時代が動いている気配。そしてMI6(イギリス秘密情報部)、CIA(アメリカ中央情報局)、KGB(ソ連国歌保安委員会)といった各国のスパイ組織の暗躍にリアリティがある時代。まだ携帯電話もインターネットも普及以前で、情報戦としてはアナログな時代でもある。

ストーリーが分かりずらいのは、誰が味方か分からない、各国組織の騙し合いと、主人公ローレン・ブロートンの正体までハッキリさせない物語の構造上、致し方ないかもしれない。
ただし全員の目的である「極秘リスト」の重要性がピンと来ない。それって結局、自分らの保身のためじゃないのかねと。その割りにあまりに多くの人が死に過ぎてはいないかねと。
あと美し過ぎる女スパイってのは、スパイとしてどうなのかなと。街を歩いてるだけで人目を引いてしまうのは、仕事に差し支えないのかなと。
そりゃ、シャーリーズ・セロンがカッコイイから観に行ったわけで、それを言っちゃおしまいだけど。

デヴィッド・リーチ監督は、キアヌ・リーヴスの『ジョン・ウィック』シリーズに関わってた人らしく、なるほど似たムードがあるかも。ここでも渋めのトーンで、肉弾戦を中心としたアクションを魅せる。

1989年のベルリンってことで、ニューオーダーだの、デヴィッド・ボウイだの、スージー&ザ・バンシーズだの、ティル・チューズデイだの、デペッシュ・モードだの、ネーナだの、今となっては懐かしい、当時のニューウェイヴ系のポップスが流れまくるのもまた楽しい。
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ジャクソン・ブラウン『ザ・ロード・イースト』

2017/11/15 14:31
このところ、このブログで取り上げたCDといえば、カルロス・サンタナ(70歳)、グレッグ・オールマン(69歳)、マイケル・マクドナルド(65歳)、トム・ペティ(66歳)、レオン・ラッセル(74歳)、クリス・ヒルマン(72歳)、スティーヴン・スティルス(72歳)、デヴィッド・クロスビー(76歳)、レイ・デイヴィス(73歳)と、ここはロック界のやすらぎの郷かってくらいの高齢化社会。
かつてロックは「30歳以上は信じるな」なんて言っていたそうだが、いまや「60歳以下は信じるな」くらいの勢いで、高齢者によるカウンター・カルチャー化してるんじゃなかろうか。

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という流れで今回はジャクソン・ブラウン(69歳)の来日記念ライブ盤である。10月の来日公演は行かなかったけど、再プレスとかなさそうだから、とりあえず買っとこうかなと。

今作は2015年の日本公演の音源から収録されている。僕は何度もジャクソン・ブラウンのコンサートに行ったことはあるが、近年はいってない。いつも必ず良いけれども、期待以上ではないというか……。
それにジャクソン・ブラウンに限らず、ベテラン・アーティストのライブにありがちな、新アルバムからの楽曲は会場の反応が鈍く、古い曲ほど盛り上がる雰囲気も(自分も盛り上がりつつ)、これって現役アーティストにとってどうなんだろ、と思ったり。

そんな感じで期待値は低めに聴いた。まずとても丁寧に作られたアルバムだったので嬉しくなった。日本独自企画盤だけど、制作は全てアチラ側。
ジャクソン・ブラウン自身が選曲・マスタリングを監修。アートワークもアチラ側のスタッフによるカッコイイ仕上がり。

選曲は80年代後半以後のアルバムからの曲が中心で、ベスト盤的なものではないが、そこにこそジャクソンのこだわりを感じる。
そして立ち姿のシルエットこそ変わらず若々しいが、音楽は良い意味で円熟味を感じた。「シェイプ・オブ・ハート」や「ライヴス・イン・ザ・バランス」など、僕がコンサートで聴いてた頃よりずっと、しっとりと落ち着いたアレンジに変わっていて、これはこれで、すごく良い。

日本独自企画盤って、ライブ音源数曲に代表曲を水増し収録したような作りのものが多いなか、これはアメリカのファンも羨む出来。
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仁義

2017/11/12 14:11
昨日は角川シネマ新宿「ジャン=ピエール・メルヴィル監督特集」にて上映の『仁義』を観た。当日券1500円。

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メルヴィルとしては後期、1970年制作のフィルム・ノワールの傑作。
いやぁシビれた。140分、メルヴィルの世界を堪能した。テレビで見たことはあったが、劇場で見るのは初めて。しかも過去の「メルヴィル特集」や「フィルムノワール特集」はミニシアターで、もうちょっとスノッブな感じで見なきゃならなかったけど、今回は大スクリーンだ。

もうさ、全然違う。今の映画と。良い悪いではなく「文法」が全然違う。まずベラベラ喋んないから。男たるもの。140分もあるけど案外台本は薄いかもしれない。セリフが極端に少ないから。
音楽も控えめに、静かに聴こえるジャズがたまらない。
その語り口は、今の派手なアトラクション映画を見慣れていると、少々不親切に思えるくらいに、徹底してスタイリッシュに、スタイリッシュとはこういうことさばかりに、全てを抑制された映像で語っていく。

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序盤、刑務所を出所したアラン・ドロンと、護送中に脱走したジャン・マリア・ボロンテが、並行して映し出される。手際よく二人の悪党のキレ者ぶりが描かれ、やがてその二人が出会う。アラン・ドロンとジャン・マリア・ボロンテの引いた絵面の美しさたるや。

彼らを追う警視がまた、悪党を逮捕するためなら法スレスレの手も使うダーティ鬼警視。だが自宅に帰ると三匹の猫を可愛がる孤独な姿が映る。
後半に登場するイヴ・モンタンがまた嘘みたいにカッコイイ。

今回の特集上映は1週間限定なので、タイミング合うのがここしかなかったんだけど、それが『仁義』で良かった。いやぁシビれた。
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#こんなブラック・ジャックはイヤだ

2017/11/09 13:33
前回ちらりと触れた『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』(小学館)はこちら。著者表記は、原作・手塚治虫、漫画・つのがい、となっている。定価690円+税。

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手塚治虫の漫画でお馴染みの、ブラック・ジャックや、ピノコ、ロック、ドクター・キリコらが、くだらなくふざけまわる冒涜寸前のパロディ。
つのがい氏は謎だらけなんだけど、巻末のアトガキマンガが、ネタではなく事実とすれば、あまり漫画を読んでもなかった素人が、あるきっかけに取り憑かれたようにブラック・ジャックの模写を始めたそうだ。
で本当に手塚治虫が取り憑いたのかというような、あの流れるようなペンタッチと、独特のレタリングが完コピされている。

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手塚治虫そっくりの絵を描くといえば、過去に田中圭一の登場にもびっくりしたけれど、似てるという点では、つのがいの方が似てるかも。
つのがいの方が、線の太さが70年代前半の、初期ブラック・ジャック風なのかな。


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それでは今日はジャズで、ドナルド・バードの「ブラックジャック」を聴きながらお別れです。これはイヤじゃないブラックジャックです。
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日本語ラップの美ー子ちゃん

2017/11/06 13:22
服部昇大『日本語ラップの美ー子ちゃん』(宝島社)を読んだ。
定価740円+税。

本屋の音楽本コーナーで異彩を放っていたので、思わず購入した。
日本語ラップの入門書を、懐かしの「日ペンの美子ちゃん」の絵柄で描いている。僕は日本語ラップは全く聴かないし、興味もない。それに「日ペンの美子ちゃん」のファンでもない。なのに、この二つが組み合わさると面白そうな予感がしてしまうのだ。

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いろいろ謎なので調べてみると「日ペンの美子ちゃん」は、1972年に誕生以来、漫画家が交代しつつ断続的に2000年代まで掲載されていたと。
そして服部昇大がパロディ漫画として描いていた『日本語ラップの美ー子ちゃん』が学文社に見つかり、公式に6代目・美子ちゃん漫画家に就任して、本家の美子ちゃんも10年ぶりに復活したとのこと。
このあたりの経緯は『#こんなブラック・ジャックはイヤだ』のつのがい氏が、手塚プロの公式ブレーンになったことと似てるかも。
パロディも極めれば本物になるということだ。

『美ー子(びーこ)ちゃん』は神出鬼没で、ラップに興味のない、あるいは初心者の前に現れ、こんなラップがあるよと教示していくスタイル。
とても面白く読んだが、正直言ってチンプンカンプンだった。でもこれはしょうがない。門外漢が読んだら、ロックやジャスの入門書だって意味不明のカタカナが並んでいるだけだろう。
僕もさすがにスチャダラパーとかライムスターくらいは知ってるけど、そこまでだからなあ。基本的に日本語ラップに偏見ありまくり。でこの本を読み終えた今も、まだ偏見は取れてないかも。
本編ではなく欄外コメントの「日本語ラップ3大聞き飽きた話」(ラッパーは親に感謝しすぎ、日本のラッパーはじつはインテリ、日本で最初のラッパーは吉幾三)が、耳が痛い。これ、言ってた気がする。本編のネタにもならないところに、本当に聞き飽きてる感が出てる。とりあえずもう言わないようにしよっと。




さて今日は、困ったな。日本語ラップのCDは持ってない。洋物なら何枚か持ってるけれど……。ここは聞き飽きたシリーズで、ロック好きが言いがちな「ラップならボブ・ディランが1965年にもうやってるよ」でお馴染みの、「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」を聴きながらお別れです。フリップ芸のハシリでもありますね。
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北斎とジャポニズム

2017/11/04 19:56
続いて国立西洋美術館にて『北斎とジャポニズム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃』を観賞。ゴッホ展の半券提示で100円引きの1500円。
館内は入り口付近が混雑していたが、わりとスムーズに観賞。

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こちらも実は、さっきのゴッホ展とコンセプトは表裏一体。今度は北斎視点で、北斎の浮世絵や北斎漫画(スケッチ)が、いかにヨーロッパの芸術に影響を与えたかを検証しようという試み。
この二つの展覧会、同じ上野で同時期にやるんだから、もう少し提携したらどうかと思うんだけど、主催が東京都と国立だから、お互いバッチバチなのかもしれない。まあ100円引きしてくれたからいいけど。

セザンヌ、ドガ、ゴーギャン、モネ、それからゴッホなど、名だたる有名画家の作品と、そのヒントになった(あるいはパクられた)と思われる北斎の作品が並列して展示される。
言われてみれば確かに見える、北斎からの構図の引用、人物や動物の描写など、驚きの連続だ。
ただし「北斎ネタ探しクイズ」的な見方をしてしまい「あーこれまんま北斎やん」とか「さすがにこれはコジツケじゃない?」などと、つい純粋な作品観賞から離れてしまう嫌いも、なくはない。
それでも絵画だけではなく、装飾品や陶芸品、インテリアまで並ぶ展示は見応え十分。「海外から評価されるのが大好き日本人」として、誇らしくもある。アンリ・リヴィエールが「富嶽三十六景」に影響されて「エッフェル塔三十六景」を描いたなんて、微笑ましいほどだ。

北斎の圧倒的な技巧はもちろん、まだ外国の写真などを見る機会が少ない時代に、ヨーロッパ人にとって、浮世絵に描かれた日本は神秘の国に思えたのだろう。富士山とか、あんなに綺麗な山、本当にあるのかな?って思っただろうなぁ。

勢いで東京国立博物館の「運慶」展まで行ったろうかと思ったけど、僕の一日あたりの娯楽予算と脳の許容量がいっぱいなので帰って来ました。
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ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

2017/11/04 19:54
ゲージツの秋ってことで、上野で美術館のハシゴ。
まずは上野公園の深いところにある東京都美術館にて『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』を観賞。当日券1600円。
チケット買ってから入場まで少々並ぶが、混雑度はまあまあ。

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オランダの「ファン・ゴッホ美術館」との共同プロジェクトで、ゴッホを中心に同時代のヨーロッパの画家が、いかに日本の浮世絵の影響を受けていたかを検証しようという試み。

ゴッホはパリ時代、画商の屋根裏部屋で大量の浮世絵を見つけて、魅了されたそうだ。以後、自身も浮世絵を収集し、模写し、構図を真似たり、作品にそのまま取り入れたりして、しまいにはゴッホの中で、日本という国がユートピア化してしまい、アルルを「仮想日本」と見立てるまでに。

ゴッホ展としても日本初公開の「タラスコンの乗合馬車」や「ポプラ林の中の二人」など、素晴らしい作品があったり、充実した内容だった。
最後のブロックは、ゴッホの死後、ゴッホに魅了されて渡欧した明治の日本の画家や作家が、ゴッホを看取った医師宅に遺した芳名録が展示されていた。まあ見てどうのってものでもないけれど、貴重な記録だし、240名もの日本人の署名が残っていたとは驚き。

日本では大衆的な商品だった浮世絵が、ヨーロッパでゴッホに影響を与える。やがて日本人がゴッホに魅せられ、ゴッホの中に浮世絵の影響を見つけて、浮世絵を再評価する。不思議なサイクルだ。大団円というか。
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ブレードランナー 2049

2017/11/02 11:25
昨日はイオンシネマ板橋にて、『ブレードランナー 2049』を観た。
サービスデーにつき1100円。

リドリー・スコットは製作総指揮にまわり、監督は『メッセージ』などのドゥニ・ヴィルヌーブが引き継いだ。

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1982年公開の『ブレードランナー』は、レンタルビデオ時代のカルト映画だ。だから大コケした劇場初公開時にガラガラの映画館で観ている僕らには、ちょっとした優越感がある。たいして詳しいわけでもないくせに、いや映画館で初めて観たときの衝撃といったらね!と、劇場で見た事実のみを武器に、つい自慢したくなる映画なのだ。

だからこの続編も、いかにオリジナルの世界観を壊さずに作っているがポイントとなる、とあくまで上から目線の観客。ちなみに監督のドゥニ・ヴィルヌーブは1967年生まれ。なんだ、僕とタメじゃん。きっとあの時、あのガラガラの映画館にいたんだな、ドゥニ君も。

結果、見事な傑作だった。160分の長尺も画面に釘付け。派手なアクションシーンがあるわけじゃなし、むしろ地味な探偵映画調にもかかわらず。そうして、ハリソン・フォードが(ヨレヨレだとしても)現役のうちに制作できて良かった。前作のラストでのデッカードの行動は間違ってなかったとわかる正統的な続編となったし、作った意味もあったと思う。
自分の存在の不確かさは、原作のフィリップ・K・ディック的なテーマでもある。ん?ライアン・ゴズリング演じる「K」は、フィリップ・K・ディックの「K」だったりして。

未来世界で、フランク・シナトラやエルヴィス・プレスリーが見れたのも面白かったし、あと、バーチャル彼女も可愛かったな。
ではさらなる続編もありか?いやいや、二つで十分ですよ、てね。
なにしろ前作を映画館で初めて観たときの衝撃といったらね…。
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