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おやぢロックの友:アウトテイク
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好きな音楽のこととか、映画のこととか、なんかユルユルなことをメモ的に書いてみます。日記はムリ。自己紹介ったって、あとは何だ、好きなものでも書いておくか。アメリカン・ロックとか、西部劇全般、クリント・イーストウッド、サム・ペキンパー・・・おやぢ臭いな。えーと、ルーシー・リューが好き。
そうだ、あと、女子ソフトボールを応援してます。

■ブログにメアドは載せない方がいいらしいけどね。
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主戦場

2019/05/20 13:26
昨夜は渋谷、シアター・イメージフォーラムにて『主戦場』を観た。
やむなしの一般料金1800円。

なにやら賛否真っ二つ。「従軍慰安婦問題」論争に迫る話題のドキュメンタリー映画。監督は日系アメリカ人二世のミキ・デザキ。

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賛否両論、そりゃそうだろうな、という映画だった。
前半、櫻井よしこ、ケント・ギルバート、杉田水脈、テキサス親父ら、いわゆる右派の著名人のインタビューが続く。彼らの主張にも頷ける部分があり、従軍慰安婦問題など存在しないのかな、という考えに傾く。
しかし、さらに様々な歴史学者や活動家へのインタビューが続く中で、右派の主張がほころびをみせる。そういう構成になっている。
これでは右の人たちが怒り出すのも無理もない。

映画はさらに「新しい歴史教科書をつくる会」や、安倍総理を含む現在の日本の閣僚20人中16人が所属する「日本会議」に切り込んでいく。
「日本会議」の存在を知ったのは、3年くらい前だろうか。国会ではないところで日本を動かしているだなんて、「フリーメイソン」とか「イルミナティ」といった類の陰謀論じゃないの?と思ったら、秘密結社じゃなくて公に、普通に、存在してるのな。

僕はこの映画を観た後でも、反日集会などで感情的に喚く韓国人の様子に引いてしまうし、カリフォルニアの公園にまで慰安婦像を立てるやり口は品がないと思っているし、韓国が政治利用してるとも思っている。
でもそれ以上に、日本の歴史修正主義者の考え方や、書き換えられた教科書や、自主規制と方向修正する日本のマスメディアが気持ちが悪い。

そうした一連のことを考えるきっかけとして観ておくべき映画なのは間違いない。よく作ったと思うし、イメージフォーラムさんもよく公開したと思う。
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Mavis Staples『We Get By』

2019/05/19 11:49
メイヴィス・ステイプルズ(79歳)のニュー・アルバムが早くも出て、またしても傑作だ。

アレサ・フランクリン亡き後、ますますソウル/ゴスペル界のサバイバーとして存在感を増しているメイヴィス・ステイプルズ。
2010年から、ウィルコのジェフ・トゥイーディーのプロデュースによるアルバムを3作発表し、いずれも素晴らしい出来だったが、今回はベン・ハーパーが立候補して、ベン・ハーパー全11曲書き下ろしのプロデュースによる新作となった。

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ジェフ・トゥイーディーのプロデュースは、ソウルのレジェンドと、オルタナティブ・ロックのカリスマの組み合わせの意外性が興味深かったのだけど、その点ではベン・ハーパーに意外性はない。聴く前から「そりゃ良いに決まってるだろ」と思うし、その期待を裏切らない出来だ。

ベン・ハーパーもまた1992年のデビュー以来27年もの間、決してヒットチャートを賑わすタイプではないが、コンスタントに活動を続けるカリスマ。いくつかのユニットでの活動も含め、ブランクなくアルバムを作り続ける才能とエネルギーは、並大抵ではない。

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今作はクレジットを見る限り、ベン・ハーパーはギターでの参加はなく、演奏はメイヴィス・ステイプルズのツアーバンドのようだ。ベンは3曲目のデュエットで登場するくらいで、裏方に回っている。
シンプルでいて、グルーヴ感と温かみを感じるサウンド。ベン・ハーパー自身のアルバムでは時に暑苦しさもあるけれど、ここではしっかり抑えた大人のプロデュースをしている。
そしてメイヴィス・ステイプルズの深みのあるボーカル。70代になってから息子のような年齢の、才能あるアーティストから慕われて、次々に傑作を作り出すおそるべきソウルお婆ちゃん。
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僕たちのラストステージ

2019/05/13 13:01
昨日は新宿ピカデリーにて『僕たちのラストステージ』を観た。
たまにはハメを外してやろうと、やけっぱちの一般料金で1800円。

1930年代のハリウッドで活躍したお笑いコンビ「ローレル&ハーディ」の晩年を描いた映画。ジョン・S・ベアード監督。
それぞれスタン・ローレルをスティーブ・クーガン、オリバー・ハーディをジョン・C・ライリーが演じる。原題は『STAN & OLLIE』で、ローレル&ハーディじゃないのは、二人の私生活が中心だからだろうか。

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ローレル&ハーディの存在は知ってるけど、一本も見たことはない。ウィキペディアなどで調べてみると、マルクス兄弟あたりとは同時代。アボットとコステロはわずかに後世代になるようだ。

1953年。映画界を引退した(本人たちは復帰する気満々だが)ローレル&ハーディは、イギリスの興行主から招聘され、劇場を回るツアーを開始する。しかしホテルは三流、劇場はガラガラ。
イギリスの映画館の看板にアボットとコステロの新作の看板がデカデカと掲げられているのを切なく眺めるスタン。

しかしマスコミ取材を積極的に受け、地元の盟主とのパーティに顔を出すなど宣伝活動を続けるうちに、やがて劇場は埋まり、ネタは大受け。二人はイギリスの舞台で見事に再起するのだが・・・。

映画のトーンは喜劇役者を描いたわりにシリアスで、コメディ映画ではない。もうちょっと軽妙な映画にしてもよかったんじゃないかと思うけど、
初老の二人の役者が愛おしくなるし、必死に舞台に立つ姿に拍手を送りたくなったのは間違いない。
後半、二人の妻も渡英して合流するが、二人とも強烈なキャラ。だけどそれぞれの愛のカタチがあって、素敵だったな。
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モンキー・パンチのまんが道。

2019/04/18 14:53
先日亡くなったモンキー・パンチ氏の追悼記事や関係者のコメントを読んでいた中で、面白そうな本が紹介されていたので早速買ってきた。

吉本浩二『ルーザーズ』第1巻(アクションコミックス/双葉社)。
定価600円+税。

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時は1965年。木造2階建ての小さな出版社、双葉社で青年漫画誌「漫画ストーリー」の編集長を務める清水文人(33歳)は、当時、大人が読む漫画といえば軽いタッチの風刺ものがメインだった中で、新しい大人漫画を模索していた。
そんなある日、加藤一彦(27歳)という青年の描く「見たことない絵」に可能性を感じる。もちろん加藤一彦こそ後のモンキー・パンチ!

「ルパン三世」という国民的な無国籍漫画の原作者であるわりに、もちろん僕も「ルパン三世」が大好きなわりに、モンキー・パンチ氏のことはあまり知らなかった。似た絵柄の人が見当たらない個性的な、異様にバタ臭い、そしてハードボイルドなタッチ。先にアニメから入った僕は、原作漫画を見つけた時に驚いたものだ。

『ルーザーズ』第1巻では、北海道から漫画家を目指して上京したものの、全く芽が出ない加藤一彦が、清水編集長と出会って、やがてモンキー・パンチになる「まんが道」が描かれている。

2巻以後はバロン吉元も登場して、いよいよ『漫画アクション』創刊に動き出すようだ。今晩にでも2巻を買ってこよう。


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それでは今日は…「ルパン三世」といえば、山下毅雄のR&Bテイスト溢れる音楽も、大野雄二のジャジーな音楽も最高だけど、残念ながらサントラは持ってないので、スティーリー・ダンで「モンキー・イン・ユア・ソウル」を聴きながらお別れです。
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翔んで埼玉

2019/04/07 18:02
昨日はイオンシネマ板橋にて『翔んで埼玉』を観た。
レイトショー割引で1300円。

こないだ『ブラック・クランズマン』を観たときに、日本では差別をテーマにした映画を作るのは難しいだろうな、と思ったのだが、早速あったじゃないか。とんでもない埼玉県人差別の映画が。

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なにやら大ヒットしてるらしいという情報だけで、よく知らずに観に行ったんだけど、ゲラゲラ笑った。ちなみに僕も、東京と埼玉の県境に住んでるんだけど、「東京都」を強調してしまうののは言うまでもない。

原作は『パタリロ!』の魔夜峰央。監督は『のだめカンタービレ』『テルマエ・ロマエ』などの武内英樹。なるほどなぁ。徹底して作り込んだ、壮大にバカバカしいコメディ映画だった。
GACKTとか伊勢谷友介とか京本政樹とか、クセの強い役者がクセを最大限に強調して、大マジメに演じれば演じるほどくだらない。監督も出演者もそこは心得ていて、大マジメにスペクタクルを作ってるから、最後はうっかり感動してしまったじゃないか。
主人公、壇ノ浦百美は男性の設定で、ボーイズラブ的な側面もあるんだけど、演じるのが二階堂ふみだから、そこは全く抵抗なく、ただの埼玉県人と東京都民のロミオとジュリエットとして楽しめる。

本編の「埼玉の都市伝説」をカーラジオで聴くという構造上、現代パートの島崎遥香と家族が、本編に対するツッコミ役となる。このツッコミなしで、最初から最後までボケまくる手法もあったかと思うが、あまりにもブッ飛んだ物語だから、現実社会と繋ぐ意味で、やっぱりツッコミがあった方がいいのかな。ぱるるも可愛かったし。
それにしても、ああ、くだらない映画だった(褒めてます)。
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ブラック・クランズマン

2019/04/03 11:48
月曜日はイオンシネマ板橋にて『ブラック・クランズマン』を観た。
サービスデーにつき1100円。

スパイク・リー監督の話題作。そういえば、スパイク・リー監督の映画はしばらく観てなかったな。

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非常にパワフルかつユニークな傑作だったが、重層的な構造で、内包するテーマも複雑。正直、僕には全部を受け止められなかった気がする。

主人公の黒人刑事(ジョン・デヴィッド・ワシントン…デンゼル・ワシントンの息子だそうだ)の素性はよく分からない。フラリと現れて、簡単な面接で刑事になっちゃう。同僚はごく一部を除き、差別意識はない。コロラド州の警察は案外開かれてるんだな、という印象だ。白人が全て敵ではないということが、ある程度分かる。

物語は「ブラックパンサー党」一派の黒人学生集会と、白人至上主義の「KKK(クー・クラックス・クラン)」への潜入捜査が並行して進む。
要するにブラックパワーとホワイトパワーの対立が描かれるのだが、フェアとは言い難い。
だって黒人学生側は知的で政治意識が高くて、かつスタイリッシュ。何といっても女性の代表パトリス(ローラ・ハリアー)が、大きなアフロヘアとメガネが似合ってとてもチャーミングだ。
一方のKKK側は、いかにも低下層で教育レベルが低く、見た目も醜い上に変態チックな連中ばかり。いいとこ一つもなし。普通に見てれば主人公じゃなくても黒人側にシンパシーを抱くだろう。

そのうえKKKに潜入する白人刑事(アダム・ドライバー)は、被差別側のユダヤ系だから、事態はややこしくなる。
なんなら主人公以上に危険な状況に追い込まれる、もう一人の主役アダム・ドライバーの好演が、この映画を面白くしている。この人は超大作『スター・ウォーズ』で名前を売る一方で、マーティン・スコセッシ、ジム・ジャームッシュ、そしてスパイク・リーの映画に出演と、あの間延びした顔で、着実にキャリアを重ねている。

日本人は、黒人やユダヤ人の歴史的な意味での差別は理解していても、差別意識はほとんど無いんじゃないかと思う。だから「アメリカってひでぇ国だなあ」と言うのは簡単だ。じゃあ日本国内に差別はないのかというと、さすがに暴動やリンチはないだろうが、在日やアイヌあるいは部落などに対する差別意識は、根深く持っている。しかし映画やドラマでそこに踏み込むことは滅多にない。こうして差別をテーマにエンターテイメントな映画を製作できるアメリカの方が開かれてるのかもしれない。
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大滝詠一「NIAGARA CONCERT ’83」

2019/03/28 10:15
大滝詠一『NIAGARA CONCERT ’83』を買ってきた。サブタイトルは「1983年夏 大滝詠一最後のステージ 完全実況録音盤」。 
ボーナスCD+DVD付きの限定盤が出てるけど、6000円+税という価格を見て、泣く泣く(しかし迷わず)一枚ものの通常盤を購入。

解説によると、これは1983年7月24日、西武球場で開催の「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES. ’83/ASAHI BEER LIVE JAM」と銘打たれたイベントで、ラッツ&スター、サザンオールスターズと一緒に出演した際の、大滝詠一パートの全貌とのこと。トリはサザンのようだ。

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大滝詠一の大名盤『A LONG VACATION』が発売されたのが1981年。
おそらくどハマり世代は僕よりもう少し上で、当時の大学生あたりは全員聴いてたんじゃないかってくらいの大ヒットアルバム。
もちろん中学生の僕だって、丸坊主頭に似合わないことは自覚しつつ、LPレコードを一所懸命に聴いていた。永井博さんのジャケットイラストをうっとり眺めながら。

オープニングから5曲は新日本フィルハーモニーオーケストラの演奏によるインストゥルメンタル。すごく素敵な演奏なんだけど、大滝さん、このまま出てこないんじゃないかとアセる。

ようやく6曲目、小林克也さんによるMCに呼び込まれて大滝さん登場!
『ナイアガラ・トライアングル Vol.2』(これはレンタルレコードで済ませた記憶がある。中学生のお小遣いだから許してほしい)からの「オリーブの午后」「♡じかけのオレンジ」「白い渚」を、軽い感じで歌う。
でもって必殺「雨のウエンズデイ」ときた。あーこりゃ最高だ!
さらに薬師丸ひろ子の映画『探偵物語』(1983)主題歌のセルフカバーで、懐かしさに拍車をかける。

スタジアムコンサートだけど、観客を煽る感じは全くなくて、スタジアムなのにスタジオライブみたいな、精密な演奏を繰り広げる。
大滝さんのボーカルは、軽〜い感じなんだけど、よぉく聴くと、むちゃくちゃ細かいニュアンスをしっかり表現してて、さすがの一言。

どうなんだろう。たしかに懐かしいが、決して「懐メロ」ではない普遍的な大滝サウンド……と思うのは、僕ら以上の世代だけなのかな。別に若い人にウケるのが良い音楽だとは思わないからいいけどね。
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裸の華

2019/03/26 21:32
桜木紫乃『裸の華』(集英社文庫)を読んだ。
新刊700円+税。

怪我で引退した元ストリッパーのノリカが、自身の原点の街札幌で小さなダンスバーを開業、20歳と23歳のタイプの違う女性を採用する。二人のダンサーの成長と共に店は軌道に乗り始めるが……。

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僕は桜木紫乃さんのファン(自称シノラー)なので、どの作品を読んでも感動したり唸ったりしているが、こりゃまた傑作だ。哀しい女の人生を多く描いてきた桜木さんにしては珍しく、ポジティブで力強い物語。もちろん、切なさや寂しさもあるけれど、読みながら心の中で拍手を送った。

桜木さんは連作短編で一つの物語を繋ぐなど、技巧的な構成も得意だが、今回はストレートに、時系列に沿ったドキュメンタリー風で、それがとても効果的。開店日、お客さんはどのくらい来るのか、瑞穂とみのりのダンスは受けるのだろうか、などと成功を祈りながら読んでしまう。

ノリカが作ったのはストリップ劇場ではなく「少しセクシーなダンスショーを売り」にしたお店。愛嬌がありダンス好きな瑞穂と、技術も身体能力も抜群のみのり。ノリカは二人の資質と欠点を見抜き、魅せるダンサーへと指導していく。この師弟関係がとてもいい。ここに訳あり風のバーテンダー竜崎も加えて、桜木さんの作品には珍しく、登場人物の全員が気持ちのいい人間だ。それぞれが仕事に「矜持」を持って生きている。

瑞穂とみのりを主人公にした青春ものにすることも可能だったはずだけど、これはやっぱり40歳過ぎのストリッパー、ノリカの「夢の続き」の物語。その辺の心に染み方が、桜木紫乃の世界だなぁと感動。

あと、巻末の村山由佳による解説が、とても良かったことも付け加えておきたい。


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それでは今日はドナルド・バード&ニューヨーク125番街(Donald Byrd and 125th Street, N.Y.C.)のディスコ、「セクシー・ダンサー」を聴きながらお別れです。
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新・北斎展

2019/03/21 22:59
六本木、森アーツセンターギャラリー『新・北斎展』に行った。
入場料1600円。

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確かに行ったのだけど、行ったという以上のことはない。
そもそも、あんまり乗り気じゃなかったのだ。北斎展はもう何度も観ているから、北斎がスゲェってことは重々承知の助。だから今回はパスしようと思ってたけど「新」とか付いてるし、やっぱり見ておくか……と。

しかし六本木は、僕にとって完全アウェーな土地である。なぜか。昔っから。地下鉄から地上に出るだけで気持ちが落ちてくるのは、きっと磁場が合わないのだろう。
その上、よりにもよって六本木ヒルズときた。だが負けずに歩くと、入り口の案内に、入場待ち時間80分とある。帰ろうかと思う。実際、一度離れたが、思いとどまって並ぶことにする。
まず入場券を買うために並ぶ。エレベーターに乗るためにまた並ぶ。北斎の人気はすごいのだ。みんなそんなに北斎が好きか。
ようやくエレベーターで52階へ上がると、今度は入場までさらに並ぶ。52階ともなると気圧の変化も関係あるんじゃないだろうか。なんだか頭が朦朧としている。

いよいよ会場に入ると照明がやたらと暗い。美術館は作品を保護するために照明は暗めなものだけど、何もこんなに暗くしなくても、と思う。人垣の後ろから覗いても、作品が暗くてよく見えない。
疲労困憊、意識朦朧、暗中模索で作品をざっと眺めてフラフラと会場を脱出、時計を見ると30分も経ってなかった。これでは僕は何も見ていないのだろう。実際、ほとんど覚えていない。

とても勿体無いことをしたし、北斎先生にも、膨大かつ貴重な作品を集めた美術館にも大変申し訳ないことをした。
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グリーンブック

2019/03/18 10:39
昨日はイオンシネマ板橋にて『グリーンブック』を観た。
レイトショー割引1300円。

アカデミー作品賞ほか受賞の話題作。うん、文句なしの傑作だった。
著名な黒人ピアニスト(マハーシャラ・アリ)と、運転手に採用されたイタリア系白人(ヴィゴ・モーテンセン)が、人種差別の残るアメリカ中西部、南部をツアーするロードムービー。

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まずは僕自身の偏見を改めたい。60年代に、この映画のドクター・シャーリーのような、ジャズでもブルースでもない、クラシック畑出身の黒人ピアニストが実在したなんて、全く知らなかった。
といっても彼のピアノはファンキーで、一応ジャズにカテゴリーされてるようだが、いわゆるハードバップとはだいぶ違う、クラシックとジャズの中間のような音楽家だ。
運転手のトニーや僕みたいな無教養な人間でも、映画の中で演奏する彼のピアノのカッコよさは分かりやすく、そこも素直に感動できた要因だ。

もう一つ、『メリーに首ったけ』『愛しのローズマリー』などの下品なお馬鹿コメディばっかり作って来たピーター・ファレリー監督が、こんなに節度ある大人のコメディ映画を作るとは思いもしなかった。
お馬鹿監督だという偏見を改めたい。今作に弟のボビー・ファレリーが参加してないせいだろうか。このままだと「ボビーが馬鹿だった」説が出てしまう(いや、お馬鹿コメディも好きだけど!)。

インテリで裕福な黒人と、荒っぽい低下層の白人という、典型から逆転した構図も新鮮だ。
カーラジオから流れるR&B、リトル・リチャードやアレサ・フランクリンを白人が黒人に教えたり、ケンタッキー州に入るやフライドチキンを食べさせたりと、ユーモアの中で、二人がお互いに学び、成長し、理解していく過程にジワジワ感動する。もちろん人種差別に対する静かな怒りも忘れない。

この映画に映画賞をさらわれたカタチのスパイク・リー監督は、文句たらたらだったらしいが、そんなスパイク・リー監督の新作『ブラック・クラウンズマン』ももうすぐ公開。こっちも面白そうだから観なきゃ。
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細野晴臣「HOCHONO HOUSE」

2019/03/15 14:00
細野晴臣(71歳)のニューアルバム『HOCHONO HOUSE(ホチョノハウス)』が良い。

これは1973年に発表した細野晴臣ソロ名義としてのファーストアルバム
『HOSONO HOUSE』を、セルフリメイクしたアルバム。この情報を知ってから『HOSONO HOUSE』を聴き直して、予習もバッチリ。
そういえば高橋幸宏も昨年、デビューアルバム『サラヴァ!』のボーカルを新録したアルバムを出していたし、ベテランアーティストには、そういう時期ってあるのかな。

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細野さんはリメイクにあたり、基本的に打ち込みによる「宅録」という手法を選んだ。今のツアーバンドと作った方がラクそうだけど、あえて一人で挑み、さらに現代の「音像」を作るために、自宅の機材やソフトウェアなんかも入れ替えて作ったそうだ。71歳にして最先端。ものすごく前向きに後ろ向きなアルバムなのだ。

前向きに後ろ向きだからなのか、収録曲順がオリジナルとそっくり逆になっていて、これが不思議としっくりくる。ラジオのノイズの中から聴こえる「相合傘」からの「薔薇と野獣」への流れとか、もう最高だ。
ブックレットには細野さん自身による詳細なライナーノーツが一曲ごとに付いていて、読みながら聴くのもまた楽しい。71歳の細野さんが、26歳の自分と向き合うのは、なかなか大変な作業だったらしく、歌詞も一部書き換えたそうだ。

打ち込み主体だから「テクノ」ともいえるけど、生ギターも多く使ってるし、元のメロディのせいか歌詞のせいか、意外にフォーキーなあたたかさも感じる。それに何より細野さんの声が相変わらずカッコイイのです。
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運び屋

2019/03/11 15:54
昨日は、シネマサンシャイン池袋にて『運び屋』を観た。
レイトショー割引1300円。元日から2ヶ月以上ぶりの映画館。

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映画仙人クリント・イーストウッド、88歳の監督・主演作が、またしても傑作とはどういうことだ。すでに世界ビックリ人間の域に達している。
90歳の老人を演じるにあたり「2歳老け役」をこなしてるとはいえ、紛れもなく爺さんだが、それでもなお、主演俳優たる魅力も失わず。

徹底した引き算の演出による、シンプルな物語の中に、哀しみもユーモアもサスペンスも全部盛りのエンターテイメント映画だ。
カーラジオから流れる古いポップスに合わせて、老人が歌いながら中西部を走るピックアップトラックのなんと楽しいことか。しかしその風景は、かつての『ブロンコ・ビリー』あたりで見た中西部とは確実に何かが違う、今のアメリカが映し出される。

そうして一番大切なことは、ダイナーでコーヒーを飲みながら、さりげなく語られる。あの朝の老人と捜査官の関係性は、ラストで立場が変わっても、どこにも嘘はないのだ。さらに観客は、クリント・イーストウッドとブラッドリー・クーパーの師弟の会話にも重なって思える。
まったくお見事。
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キャバレー

2019/03/09 21:46
栗本薫『キャバレー』(角川文庫)を読んだ。定価680円+税。
前回までの本棚引っ張り出しシリーズは終わり。久々に新刊を買う。
といってもやっぱり80年代の小説の復刊だけど。

角川文庫が紀伊國屋書店や明屋書店など、大手書店限定復刊を試みているシリーズから、これは三省堂書店限定の復刊本。オビには「三省堂書店がどうしても売りたかった伝説の作品が復刊」とある。
カバーはいかにも今の角川文庫っぽいタッチのイラストだけど、落ち着いた色合いで、僕でもわりと買いやすかったです。

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これは1984年に刊行、1986年には角川映画として、野村宏伸、鹿賀丈史主演、角川春樹自らの監督で映画化されたやつ。当時観たけど、あんまり面白い映画じゃなかったな。だけど、僕がこの数年ジャズに興味を持つ中で、原作を読んでみたいと思っていたのだ。

才能あるアルトサックス奏者の美少年・俊一は、恵まれた家庭と一流大学にいては、本当のジャズは出来ないんじゃないかと、いかにも青臭い思いから家を飛び出し、場末のキャバレーで演奏する日々。そんな中、俊一の演奏に魅了された地元ヤクザの幹部、滝川が俊一に近づいてくる。

あとがきで栗本薫さんが、ナット・ヘントフの『ジャズ・カントリー』や五木寛之のジャズ小説(『青年は荒野をめざす』など)の自分版を書いてみたかったと、ある種ネタバレ的なことを書いているが、まさに、という栗本版ジャズ小説だった。
前半は俊一の青臭さを栗本薫が弄ぶかのように、徹底的に俊一を打ちのめす。後半はヤクザの抗争に巻き込まれてなかなかのバイオレンス。

一人の少年の通過儀礼としては、犠牲者が多過ぎやしないかとは思うが、読後感は悪くない。なかなか本質のわからないヤクザ、滝川という男の不気味さと奇妙な魅力が、全編に緊張感を与えている。
カバーイラストのおかげで野村宏伸のイメージに引っ張られずに読むこともできた。
ロバート・アルトマン監督の『カンザス・シティ』みたいな、クールなタッチで映画化するテもあったかもね。


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滝川が決まってリクエストする「レフト・アローン」は、マル・ウォルドロン作曲、ジャッキー・マクリーンの演奏が有名だけど、残念ながらそのアルバムは持ってない。でもジャッキー・マクリーンのCDなら何枚か持ってるので、今日は「ライツ・アウト」を聴きながらお別れです。
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冬の乱読アワー5 オヨヨ島の冒険/怪人オヨヨ大統領

2019/02/27 11:39
小林信彦『オヨヨ島の冒険』と『怪人オヨヨ大統領』(共に角川文庫)を読んだ。1970年刊行、小林信彦初期のナンセンス小説。

いま持ってる『オヨヨ島の冒険』は、こないだの小松左京『日本アパッチ族』と同じ、角川文庫のリバイバルコレクションのやつだけど、僕は子供の頃に読んでる。児童文学ではない、小説家の書く子供向けの本、北杜夫の『船乗りクプクプの冒険』とか、星新一の『ほら男爵現代の冒険』とか大好きだったなぁ。小説を読む入り口になっていたと思う。古本屋さんで見つけたら懐かしくて、つい買い直してしまったり。
そうしてこういうのは大抵、大人が読んでも面白い。

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文庫巻末の解説で、新井素子が「いい子の匂いのない子供向けの本」と表現しているように、いま読むとちょっといかがなものかって言葉や表現もチラホラ出てくるし、毒っ気たっぷりのブラックユーモアもあるが、とにかく読み始めたら止まらない。

続編の『怪人オヨヨ大統領』を読んだのは大人になってから。さらにスケールアップして、子供が主人公なだけで、ほとんど子供向けじゃない、パロディ満載のナンセンスコメディだ。前作でロシア系のコンビ、ニコライとニコラスはコント55号がモデルとバラしているが、今作にはそのまんまのマルクス兄弟が登場して大活躍する。
僕は小林信彦の『日本の喜劇人』『世界の喜劇人』も愛読していたので、当時はマルクス兄弟の映画なんか見たこともないくせに喜んだ。
チャップリンやキートンはともかく、マルクス兄弟の映画を見る機会なんて無かったから仕方がない(いやマルクス兄弟こそのちに廉価版DVDが出たから見ることができたが、ハロルド・ロイドとか、アボットとコステロとか、ボブ・ホープの「腰抜けシリーズ」「珍道中シリーズ」とか、いまだにほとんど見たことないけど)。

「オヨヨ大統領シリーズ」はまだ続くが、僕が読んでるのはこの2冊だけ。また古本屋で出会ったら買ってみよう。


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それでは今日は、ボブ・マーリー&ザ・ウェイラーズで「バッファロー・ソルジャー」を聴きながらお別れです。
♪オゥヨゥヨォ、オヨヨゥヨォ、オヨヨヨォオヨヨゥヨ
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約束のステージ

2019/02/23 23:33
録画しておいた、土屋太鳳、百田夏菜子主演のドラマ『約束のステージ〜時を駆けるふたりの歌〜』(日本テレビ)を見た。

歌手志望の小沢翼(土屋太鳳)が、ある日1975年にタイムスリップ。そこでやはり歌手志望の大空つばさ(百田夏菜子)と意気投合し、コンビを組んで『全日本歌謡選手権』に出場する。監督は佐々部清。

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僕はほとんど覚えてないんだけど、『全日本歌謡選手権』とは1976年まで放送されていた読売テレビ制作の番組で、ドラマで審査員席に並んでいた五木ひろし、八代亜紀、天童よしみらは、この番組からスターになったらしい。

あくまでテレビサイズのドラマとして楽しく見た。SFじゃないからタイムパラドックスがどうとか、言いっこなし(ほんとは言いたい)。
土屋太鳳は、1975年を簡単に受け入れ過ぎじゃないか、前向き過ぎじゃないか、とは思うが、きっと「ドラえもん」とか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」とか見てるから、すぐにタイムスリップじゃしょうがない!と切り替えたんでしょう。

見どころは何といっても、ももクロの百田夏菜子と土屋太鳳の歌謡シーンだろう。二人とも可愛かったし、アイドルの歌唱としては十分に上手かったけど、圧倒的に新たなスター誕生感があるかというと、そこまでじゃないんだなぁ……と思って見ていたら、後半にズバリ、テレビのプロデューサーが「二人の歌には伝わってくるものが何もない」と酷評。え?もしかして演出上「あまり感情を入れずに適度に上手く歌う」なんて高度なことをやっていたのだろうか。知らんけど。


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それでは今日は、ブルース・スプリングスティーンで「プロミスト・ランド」を聴きながら、お別れです。
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冬の乱読アワー4 日本アパッチ族

2019/02/21 10:23
小松左京『日本アパッチ族』(角川文庫)を読んだ。
小松左京、1964年発表のSF長編デビュー作。

現在はハルキ文庫で読めるようだけど、僕の持ってるのは20年くらい前に出た角川文庫のリバイバルコレクション版。

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これはなかなか愉快痛快なSF小説。死刑制度が廃止された日本では、犯罪者は塀で囲われた追放地に収容される。荒野で食糧難に喘ぐ人間たちは屑鉄を食うことで、進化した食鉄人種「アパッチ」となる。

序盤はハードな描写で、主人公が追放地に入るあたり、ジョン・カーペンター監督の『ニューヨーク1997』ばりの期待感。
しかし主人公がアパッチ化してからは、なんともユーモア溢れるタッチが楽しい。舞台が大阪ということで、アパッチたちが大阪弁なのもユーモアを感じる要因だ。
アパッチ族の大酋長、二毛次郎(にげじろう)が、外国に報道された際に誤訳で(ジロウ二モー)、つまりアメリカインディアン本家アパッチの勇者(ジェロニモ)になるあたり、膝を叩いて喜んでしまう。

さらに主人公をアパッチになぞらえることで予感される、悲劇的な結末…にはならないのだ。これが。豪放無頼なディストピア小説だ。僕もクギでも齧ってみようかな。鉄分は大事です。

昨年読んだ小松左京の自伝的小説『やぶれかぶれ青春記』でも感じたように、小松左京の根底にある反骨心が、ここでも大いに発揮されている。
そしてこれは60年代半ばに書かれた小説だが、日本がパニックになった場合の政府の対応や、マスコミや大衆の反応は、現代でも通じるものがある、というか何十年も進歩していないというべきか。


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それでは今日は、シャノン・マクナリーの『ジェロニモ』より、表題曲の「ジェロニモ」を聴きながらお別れです。プロデュースはチャーリー・セクストン。
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楽しいラジオ生活。

2019/02/20 14:39
最近はラジコと、ラジコのタイムフリーのおかげで、ますますラジオが楽しい。ラジオ日本の大瀧詠一「ゴー・ゴー・ナイアガラ」とか、TOKYO FMの「村上RADIO」とか、InterFMの「細野晴臣Daisy Holiday!」とか聴いてると(TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」が昨年末で終わったのが残念でならない)、僕ももっともっと幅広く、いろんな音楽を聴きたい欲が止まらない。

「村上RADIO」で、すっかりテーマソング風になってる「マジソン・タイム」収録の『The New York Rock And Soul Revue』は、僕も持ってるので、久々に聴いてみる。

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これは1991年に発売。ドナルド・フェイゲンとマイケル・マクドナルドが中心となり、ゲストにフィービ・スノウやボズ・スキャッグスらを招いて、古いソウルやロックをレビュー形式で披露する楽しいアルバムだ。
この活動が、のちにマイケル・マクドナルドのモータウン・カバー・シリーズや、ドナルド、マイケル、ボズの3人による「デュークス・オブ・セプテンバー」に繋がって行く。

ドナルド・フェイゲンがMCで「マイケルと僕は昔、おなじバンドにいてね、ツアーの時はよく一緒にこの曲を歌ったものなんだ。こんな感じでね」なんつって、スティーリー・ダンの「プリッツェル・ロジック」をデュエットとか、もうたまらんよね。

注釈しておくと、オリジナルの「プリッツェル・ロジック」にマイケル・マクドナルドは参加していないが、その後のスティーリー・ダンのツアーにサポートメンバーとして加入(ちなみにドラマーとしてに当時19歳だったジェフ・ポーカロも加入している)。
だから、ドナルド&マイケル、デュエットの「プリッツェル・ロジック」は、このアルバムで初めて聴けたのだ。ああ楽しい。
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冬の乱読アワー3 脱走と追跡のサンバ

2019/02/10 12:10
筒井康隆『脱走と追跡のサンバ』(角川文庫)を読んだ。
1971年発表、筒井康隆初期のSF長編小説。

何度かリニューアルされてるみたいだけど、僕の持ってるのは山藤章二のカバーデザイン。個人的には筒井さんと山藤章二のコンビが好きだ。でもネットで検索してみると、リニューアル前のイラストも良かったな。

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ところでこの小説はSFってことでいいんだろうか。SF作家の「おれ」が日常に覚える違和感。「おれ」の住む世界は、以前の世界とそっくりだが、何かが違う。「おれ」はこの世界からの脱出を試みるが、みどり色の背広を着た追跡者が現れる…。

巻末の解説によると「ニュー・ウェーヴ」と呼ばれる前衛SF小説のパロディ、とある。今度はウィキペディアで「ニュー・ウェーヴ(SF)」をみると「1960年代に発生し、1970年代にかけて」生み出され、J・G・バラードは「SFは外宇宙よりも内宇宙をめざすべきだ」と提唱した、とのこと。なるほど分かったような分からないような。

おれとは何者なのか。この世界とは何なのか。おれ思うゆえに世界あり、みたいな哲学的スラップスティック小説だ。深遠なテーマを持ったSF小説のような気もするし、「深遠なテーマを持ったSF小説」のパロディなのかもれないとも思う。

  パロディでないものなんて、だいたい現実にあるのですか。現実
  そのものが何かのパロディであるとお考えになったことは一度も
  ないのですか。このグロテスクに歪曲された現実は、いったい何
  のパロディだろうとお考えになったことは一度もないのですか。
                           (309p)

結末近くの会話からの抜粋なんで、引用するのはどうかと思ったけど、結局こういうことなのかなと。とにかく、グロテスクかつシュールかつヤケクソ気味な、特に後半のイメージの洪水は凄まじい、筒井康隆初期の傑作だ。むかーし読んだ時よりも、少しは理解できたかな。


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それでは今日は、サンタナの名曲「君に捧げるサンバ」を聴きながらお別れです。
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冬の乱読アワー2 唐獅子株式会社

2019/02/04 16:27
小林信彦『唐獅子株式会社』(新潮文庫)を読んだ。
1978年刊行の任侠パロディ連作小説。

これは1983年に横山やすし主演で映画化されていて、高校生の頃に観たが、さっぱり面白くなかった記憶がある。今なら少し違った見方が出来ると思うけど。原作も同じ頃に読んだが、いま持ってるのはブックオフで買い直したもの。装丁は平野甲賀さんですね。

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横山やすしが演じたダーク荒巻は、原作ではお笑い担当の脇役で、主役は関西の最大勢力・須磨組傘下、二階堂組の黒田哲夫。黒田が五年ぶりに出所すると、極道の世界も様変わり。須磨組の社内報「唐獅子通信」の編集を黒田が任される顛末から始まる。

社内報から始まり、ローカルテレビ局経営、音楽フェス開催、映画製作、とどんどんエスカレート。キャラクターがおなじみになってくることで、過剰にスラップスティック化していく。

文庫巻末に、筒井康隆によるパロディの原典の細かな注釈が付いている。
パロディの注釈とは野暮な……とは思うけど(おそらく注釈自体が田中康夫「なんとなく、クリスタル」のパロディ)、刊行から40年も経つと、これが面白い。なるほどあの時代かぁと頷ける。
例えば大親分がカリフォルニア文化にかぶれる「唐獅子生活革命」は、当時の雑誌「POPEYE」(1976年創刊)などを始めとした西海岸ブームの影響だろう。大親分が「気分はビートルズよ」と、本来カリフォルニア文化とは関係ない「ビートルズ」を出してしまうのは、そのズレが面白いのだが、当時、写真家の浅井慎平が刊行した「気分はビートルズ」というフォト・エッセイ集には西海岸の「気分」が溢れていた。

逆に「唐獅子惑星戦争」における『スター・ウォーズ』(1978年日本公開)ネタの、いまだに注釈を必要としない長命ぶりにも驚く。
猥雑な繁華街で黒田たちに力を貸すことになる、密輸業者の中国人、范さんとはハン・ソロのパロディだ。

こないだ読んだ『超人探偵』で神野推理氏が関西出張の際、『唐獅子株式会社』から学然和尚とダーク荒巻がゲスト出演していたのもまた楽し。


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それでは今日は、ほんとは高倉健さんの「唐獅子牡丹」でもあればいいんだけど、残念ながら健さんのCDは持ってないので、獅子ってことで、ブラック・クロウズの『ライオン』より「ヤング・マン、オールド・マン」を聴きながらお別れです。
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桃尻娘。

2019/01/30 02:13
作家の橋本治さんの訃報があった。70歳。軽々しく残念とか悲しいとか言えるほど読んでるわけじゃないけど、本棚には数冊あります。

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『桃尻娘』。橋本治デビュー作。巻末の本人による年譜をみると1977年に最初の短編を発表して、単行本になったのは翌1978年。橋本治30歳の時だそうだ。僕の持ってる講談社文庫版のカバーイラストは高野文子。
いいですねぇ。カラートーンだろうか。いかにも1980年頃の空気を感じるポップな色彩と描線。

今はポプラ文庫から出てるようです。表紙はガラッと変わってるけど、これも可愛くて現代風で良いと思います。

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だけど『桃尻娘』が、今の若い人にも読まれるような普遍的名作かといわれると、これはやっぱり1970年代後半から80年代くらいの時代背景を考慮して読まないと、結構キツいかな。何しろもう40年前だ。
もちろん僕は、ばっちりハマってます。
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